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男性従業員が同僚の女性にセクハラ行為をし、被害女性からセクハラの申し立てがあり、会社は事情調査の上、セクハラの事実があったので男性従業員を解雇しました。その男性は、当該女性に対して謝罪文を交付しましたが、当該女性は会社に対しても謝罪文を要求してきました。会社はどうすべきでしょうか。
改正男女雇用機会均等法が4月1日から施行されます。改正法ではセクハラ対策として雇用管理上必要な措置を講ずる義務が明示されました(法11条)。改正法を受けて厚生労働大臣の指針で、9項目が定められました。大きく分けると(1)セクハラを許さない旨の周知・啓蒙、(2)相談窓口等の対応するための体制の整備、(3)事後の迅速かつ適正な対応をすること、(4)これらに付随するプライバシー保護やセクハラ防止協力について定められました。改正前の男女雇用機会均等法21条が配慮義務を規定していたことに対して、今回の改正はさらに一歩進めて具体的な措置を講ずることを義務づけたことに意義があります。企業の中でセクハラを許すような風潮のある会社は、これからはリスクマネージメントができていない会社として、訴訟・調停のリスク、企業名を公表されるリスク、行政罰を受けるリスク等のリスクを負担することになります。
本件のように施行前であっても、会社が女性からの訴えや苦情に対してなかなか対応しなかったために男性のセクハラを助長したような場合であれば、会社の管理責任があるので、道義上、謝罪をする必要が出てくるでしょう。しかし、本件では、女性からの訴えや苦情に適切に対応し、男性従業員に対する懲戒をしているので、会社が謝罪文を渡すことまでは必要がないと思われます。
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