|
「過労気味だった社員が難病認定されている病気にかかった場合、会社はどうすればいいでしょうか。」
一生懸命働いてくれていた社員が「多発性筋炎・皮膚筋炎」という聞いたことのない難病にかかりました。社員は会社に過労が原因だと医者に言われたと主張しています。
この場合、労災認定は下りるでしょうか。
労働基準法75条は「業務上の疾病」の範囲を厚生労働省令に委任しています。それを受けて労働基準施行規則35条の別表一の二に仕事が原因で発症すると考えられる疾病を列挙しています。「業務上の疾病」が発症する原因は物理的因子、過度の負荷、化学的物質、粉塵、細菌・ウイルス、がん原性物質など多様です。
労災認定は、労働基準監督署という行政庁が行う保険給付をするかしないかという公権力の行使(行政行為)ですから、法に従って行われなければなりません。施行規則には「その他業務に起因することの明らかな疾病」という包括規定があります。本件でもこの規定に該当するかどうかという解釈の問題です。
ところが、「多発性筋炎・皮膚筋炎」という病気は難病認定されていますが、原因は未だ不明とされています。過労によって免疫力が低下することは知られていますが、「過労に起因することが明らか」とまではいえないので、労災認定はされないと思われます。 |
|