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平成18年11月1日
第24号
労災『通勤災害』 しっかり理解・正しい対応を!

労災保険とは、労働者の業務上や通勤途上のケガ、仕事が直接の原因でかかった病気、または不幸にも亡くなられた場合などに、労働者本人やその家族のために必要な保険給付を行う制度です。業務災害における災害補償は、労働基準法において使用者による補償が規定されています。(労働基準法の補償に相当する給付が労災保険で行われる場合、使用者はその部分に関しては補償を免れます。)

通勤災害は、事業主の災害補償責任がなく労働基準法では規定されていませんが、労働者は労災保険において業務災害とほぼ同じ給付を受けられるようになっています。 今回は、労災保険の通勤災害について見ていきましょう。

 
通勤災害とは

労働者が通勤により被った、負傷・疾病・障害・死亡のこと

労災保険上の通勤とは
 

1. 次の(1)~(3)の3パターンの往復や移動であること

 
 

※ 平成18年度より通勤の範囲が拡大され、②・③の赤い矢印の移動中の災害も新たに保護の対象となりました。(一定要件あり)


 

2. 就業のための往復や移動で、合理的な経路及び方法により行っていて、業務の性質を有するものでない(*)こと

 
 

※ 往復・移動中でも「業務の性質を有するもの」の場合、通勤災害ではなく業務災害となります。
【業務災害となる例】
 ・緊急用務のため休日に事業主に呼出を受けて出勤する途上の災害
 ・事業主の提供する専用交通機関を利用して通勤する途上の災害

3. 往復または移動の経路を逸脱・中断していないこと

→逸脱・中断をした場合は、逸脱・中断の間とその後の往復・移動は通勤とはみなされません。ただし、日常生活上必要な行為をやむを得ない事由により最小限度の範囲で行う場合は、逸脱・中断の間は除いて、通勤とみなされます。

  行為前 行為中 行為後
ささいな行為 通勤経路近くの公衆便所を使用する 通勤災害
逸脱

中断
日常生活上必要な最低限度のもの 会社帰りに病院で治療を受ける 通勤災害 × 通勤災害
上記以外 会社帰りに映画館に行く 通勤災害 × ×
給付の種類
療養の給付 指定病院等で、必要な療養を受けられる
療養の費用の給付 指定病院等以外で必要な療養を受けたとき、その費用が償還される
休業給付 療養のため働くことができず、賃金を受けられないとき、休業4日目から給付基礎日額の60%が支給される
傷病年金 療養を開始して1年6ヶ月経過しても治らず、傷病等級(1~3級)に該当するとき、障害の程度に応じて、給付基礎日額の313日~245日分の年金が支給される
障害年金 障害一時金 傷病が治った後に一定の障害が残った場合、障害の程度に応じて、給付基礎日額の313~131日分の年金か503~56日分の一時金が支給される
上記の他、介護給付・遺族年金・遺族一時金・葬祭給付等あり

労災事故が起きた場合、状況に応じた所定の手続きが必要になります。また、通勤途中に自動車にはねられたり、仕事中に歩道を歩いているとき建設現場から物が落ちてきて負傷するなど、相手のある災害の場合「第三者行為災害」と呼ばれて、通常の手続きとは異なる一定の手続き等が必要になります。
災害は起こらないに越したことはありません。従業員さんに対して十分な安全教育を行い、災害が発生してしまった際には、早急に正しい手続き等対応をしましょう。
川口事務所でも手続きの代行等をさせていただきますのでご相談ください。

(佐々木)


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