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まず、団体交渉に当たっては、各組合に対し中立的であるべきです。会社と友好的な組合と対抗的な組合とで交渉担当者は差を付けたくなるところですが、合理的理由なく差別したり、一方の組合の弱体化を図ってはいけません。
しかし、併存する組合の組織人員に圧倒的な違いがある場合には、使用者が事業場の統一的な条件としての一時金支給のために、多数組合との団体交渉・合意を中心に行うことは自然の成り行きであり、それ自体非難されることではありません。
ただし、両組合との交渉はほぼ同時期に同じ条件を提示して行う必要があります。
このような交渉の結果、多数組合と妥結に至った場合、その合意内容で少数組合とも妥結するために、使用者が少数組合に譲歩せずに交渉をすることは非難されるべきことではありません。もちろん、その交渉においては、少数組合に対して十分な説明と協議を要することは言うまでもありません。
一方、少数組合は、多数組合と異なり、自らの主張に固執してしまうと妥結に至らず、一時金の支給が遅れてしまいますが、そのことだけで使用者を責めることはできません。
しかしながら、少数組合と合意に達しないことから一時金の支給がなされないという不利益を招いたことが、使用者が少数組合の弱体化を図るべくして多数組合との団体交渉を操作したと評価される場合には、不当労働行為となります。 |
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