前回の最高裁判決(平成12年7月17日)について、敷衍します。
本件事案が労災認定を受けることができるか、について労働者の妻はどのようなことを立証すべきなのでしょうか。
1素因ないし基礎疾病があったのかどうか。2心臓が弱かったという体質・遺伝があるかどうか。3加齢が進んでいたかどうか。4食生活、喫煙・飲酒の習慣の有無等の生活習慣がどうであったのか。5死亡した日の気象状況。6著しい身体的・精神的・心理的緊張・興奮があったかどうか。7清掃作業の激しさ。8過重なスケジュールで仕事が組み込まれていたか。9疲労の蓄積がどのくらいあったか。10会社が適切な健康管理をしていたか。
などの事実です。
この最高裁判決を受けて、労働基準監督署の新たな認定基準として、発症に近接した時期における過重負荷だけでなく、長期間にわたる疲労の蓄積も考慮されるとして(1)発症前1か月間に残業時間が100時間を超えるか、あるいは(2)発症前2か月ないし6か月の間に、残業時間が1か月あたり80時間を超える場合には、業務と発症との関連性が強いとされるとの基準ができました。
これは、労働時間についての評価という客観的な基準を示すもので、労災認定に一つの客観的な指標を提示するものといえます。
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