「道徳と経済の一致」を説いて、渋沢は実業界の正しい発展を図り、自ら率先して手本を示したのです。ここに、実業界の指導者としての、渋沢の偉大さがあるのではないでしょうか。
銀行について渋沢は、「そもそも銀行というのは大きな川のようなものだ。役に立つことにおいては限りがない。とはいっても、銀行に集まってこないうちの金は、溝に溜っている水や、ぽたぽた落ちているしずくのようなものである・・・銀行を設けて上手に水の流れを開くと、蔵や懐にあったお金が寄り集まり、多額な金となるため、その力は交易産物を盛んにさせるばかりか工業も発達する。学問も進歩する。道徳も改良されるといったように、国が生まれ変わったようになる。したがって銀行は我々の日常生活になくてはならぬものなのである。」 |
そして、銀行職員に対し「銀行は、産業を興すのを助けなければなりません。それが銀行の本分なのです。」と言っています。今の銀行の方々に聞かせたいと思うのは私だけではないのではないでしょうか。
私が感心させられたのは、33歳で第一国立銀行を作り、私の歳と同じ42歳には一橋大学を作ったということです。この時代から若くして大きなことをなす人は実業界にいたのだということです。
最後に、渋沢の言葉を紹介します。
「人間”足るを知る“べきである」(カネにしてもモノにしても人間の欲望にかぎりはない。”ほどよさ“これを身につけることが人生を心豊かに生きられるコツである。)
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