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  退職金制度を設けるにあたり次に気をつける点は? 
 退職金の「きまり事」の問題と「お金(退職金の原資)の貯め方」の問題を切り離して考えることです。この点を混同してしまうと話がわからなくなってしまいます。退職金の取り扱いは、「きまり事」としての「退職金規程」により、誰に・いつ・どうやって・いくら支払うか(例:「○年勤務した場合退職時の基本給×支給率」)が決められています。その約束したお金は銀行に預けても生命保険会社に預けて運用してもらっても「お金の貯め方」としてはよいのです。退職金制度を考える時、前号でお話ししました退職金制度への「想い」を実現するための「きまり事」を設計し「貯め方」を検討することが必要です。 
 「きまり事」(退職金規程)の考え方は? 
 「きまり事」(退職金規程)には、代表的なものとして1.給与や退職時の給与等に連動して水準が決まるタイプと、2.退職時の給与等に連動しないタイプがあります。 
- 給与や退職時の給与等に連動するタイプ
 
(1) 「退職時の基本給×勤続年数係数」×退職事由 
(2) 毎年の「給与×係数」の総合計×退職事由 
- 退職時の給与等に連動しないタイプ
 
(1) ポイント制 
  (成果ポイント+勤続ポイントetc.)×ポイント単価×退職事由 
(2) 定額制 
  5年勤務30万円、10年勤務80万円 20年勤務 300万円等 
(3) 社外積立の範囲で支給等 
  中小企業退職金共済や確定拠出年金との契約における掛金の範囲内の額 
 
 
 「お金(退職金の原資)の貯め方」は? 
 「お金(退職金の原資)の貯め方」(退職金の積立方法)は次の図にようになります。 
確定給付型とは、退職金の額があらかじめ決まっているものをいいます。これに対して確定拠出型とは、退職金の掛金があらかじめ決まっているものです。
 主な積立方法のメリット・デメリットは次の通りです。
 
| 積立方法 | 
メリット | 
デメリット | 
 
| 確定給付企業年金 | 
- 長期雇用を前提とした制度に適合する
 
- 運用利回りがよければ掛金の負担が軽減される
 
- 懲戒規定が設けられる
 
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- 本人に直接支給
 
- 運用リスクを負う
 
- 積立不足が生じた場合必ず積立なければならない
 
- 将来の掛金負担予測が不能
 
- 掛金算定の計算が複雑
 
- 手数料が高額
 
- 原則60歳から支給
 
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| 生命保険等 | 
- 会社に支払われる
 
- 会社の自由裁量が大きくきく
 
- 唯一契約者貸付制度がある
 
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| 確定拠出年金 | 
- 流動的人材の活用
 
- 運用リスクを負わない
 
- 積立不足が生じない
 
- 将来の掛金負担予測が容易
 
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- 教育・管理コストがかかる
 
- 運用利回りがよくても掛金の負担を軽減できない
 
- 従業員は運用に不慣れ
 
- 懲戒規定がない
 
- 原則60歳から支給
 
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| 中小企業退職金共済 | 
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- 本人に直接支給
 
- 懲戒解雇の場合退職金の減額
 
- 不支給の申出は可能だが、掛金は戻らない
 
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(菅原)  |