川口社会保険労務士法人トップKAWA-RA版 前ページ 1ページ 2ページ 3ページ 4ページ 次ページ
寺崎弁護士の法律の窓川口事務所 協力弁護士 寺崎時史氏

「自分のパソコンに会社の仕事上の情報を保存している場合、会社を辞めるにあたって営業秘密の保持はどのようにしなければならないか。」

 会社の機密保持については、就業規則に従業員の義務として規定する場合もありますが、退職時に秘密保持契約を新たに締結する場合もあります。もちろん、このような明文の規定がなくても、退社に伴う使用者・労働者双方に誠実・配慮の要請がありますので、秘密保持義務が一般的に認められると考えられています。
例えば、パソコン内の会社の情報を、会社の機器の記憶媒体に記憶し直し、自分のパソコン内の情報はすべて消去することはいうまでもありません。
問題は、その秘密保持義務に違反していないかをどうやって調べるかです。会社が社員個人のパソコンをエクスプロール(調査)することまで認められるでしょうか。
これについては、社員は他の個人情報がパソコン内にあることを理由に拒むことができると考えられます。すべての会社の情報がパソコン内から消去されたかどうかは、社員の誓約や債務不履行の場合の損害賠償請求によって担保すれば足りるからです。
次に問題となるのは、退職後も明文による特約がない場合にも、労働者に秘密保持義務があるかです。この点は、労働契約の終了に伴い付随的義務としての秘密保持義務も終了するとする否定説と信義則上の義務として存続するという肯定説とに学説も別れています。
ちなみに不正競争防止法では、退職後も労働者が「営業秘密」を「不正の競業」、「不正の利益を得る目的」、「保有者に損害を与える目的」等の目的で「営業秘密」を使用した場合に、会社が労働者に対して、差止、損害賠償請求などをすることを認めています。

雇用保険法改正

 雇用保険の被保険者等に支給される次の給付が、改定されることになりました。ご不明な点等ございましたら、川口事務所までお問い合わせください。

■ 失業給付を受ける資格要件 【平成19年10月1日以降の離職から改定】
  改定前 改定後
一般被保険者
(週所定労働時間:30時間以上)
離職日以前1年間に、賃金支払基礎日数が14日以上の月が6ヶ月以上あること
  • 一般被保険者と短時間被保険者の区分がなくなる
  • 原則、離職日以前2年間に、賃金支払基礎日数が11日以上の月が12ヶ月以上あること
  • 倒産・解雇等により離職した場合は、離職日以前1年間に、賃金支払基礎日数が11日以上の月が6ヶ月以上あること
短時間労働被保険者
(週所定労働時間:20時間以上30時間未満)
離職日以前2年間に、賃金支払基礎日数が11日以上の月が12ヶ月以上あること

※ 離職票作成の際、ご注意ください。

■ 育児休業給付 【平成19年3月31日以降に職場復帰された方~平成22年3月31日までに育児休業を開始された方まで】
  改定前 改定後
育児休業基本給付金
(原則、1歳未満の子を養育するために育児休業を取得している一定条件の労働者に支給)
休業開始時賃金日額×支給日数×30% 改定なし
育児休業者職場復帰給付金
(育児休業を終えて職場復帰後6ヶ月経過した時点で労働者に支給)
休業開始時賃金日額×支給日数×10% 休業開始時賃金日額×支給日数×20%
■ 教育訓練給付 【平成19年10月1日受講開始以降から改定】
    改定前 改定後
一定条件の雇用保険被保険者等が、厚生労働大臣の指定する教育訓練を受講・修了した際、支払った訓練経費の一部を支給。 被保険者期間3年以上5年未満の人 教育訓練経費×20%(上限10万円) 教育訓練経費×20%(上限10万円)
※初回に限り、被保険者期間1年以上で受給可能
被保険者期間5年以上の人 教育訓練経費×40%(上限20万円)

(佐々木)


川口社会保険労務士法人トップ
CLOSE 前ページ 1ページ 2ページ 3ページ 4ページ 次ページ