日本最大手のハンバーガーチェーン「日本マクドナルド」の店長が、管理職扱いされて時間外手当を支給されないのは違法だとして、同社に未払いの残業代や慰謝料など計約1,350万円の支払いを求めた訴訟で、東京地裁は平成20年1月28日「職務の権限や待遇から見て、店長は管理監督者にあたらない。」として、同社に約755万円の支払いを命じました。
同社では正社員約4,500余人中、約1,715人(07年9月現在)が店長。チェーン展開をするファーストフードや飲食店でも店長を管理職としている企業は多くあります。労働基準法で定めた労働時間や残業代など規制適用外となる管理監督者の認定を厳格にとらえた判決は、こうした企業に影響を与えそうです。
訴訟では原告の店長が、管理職として経営者として一体的な立場にあり、出退勤の自由や賃金などで一般労働者と比べて優遇されているか否かが争点になりました。
労働基準法でいう管理監督者とは、一般的には、部長、工場長等労働条件の決定やその他の労務管理について経営者と一体的な立場にあるものを意味し、名称にとらわれず、実態に即して判断されるべきものと解釈されています。
つまり役職名がついていれば、管理職でさえあれば管理監督者として残業代を払わなくてよいというのは大きな誤解です。
管理監督者かどうかの判断基準は次の4点になります。
- 労務を管理する立場にある
- 経営者と同じような立場で判断できる
- 勤務時間や休暇などの規定にしばられない
- 一般社員と比べて賃金面での待遇が厚くなっている
つまり、管理職か非管理職かの範囲は、役職名だけではなく、人事裁量権の範囲や賃金など、各社の実態から総合的に判断されるのです。
この判断基準をみると、企業が通常定めている範囲より狭く解釈されますので、実態の伴わない「名ばかり管理職」になっていないかどうか、これを機会に自社の管理職の取り扱いについて再度確認してみてください。
管理職かどうかの判断は以前からも問題となっており、労働基準監督署の調査においても未払い賃金の観点から調査確認されることの多い内容です。
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