老後の不安はおそらく誰もが持つもの。特に最近は年金や介護などの問題もあり、さらに不安が増しているのではないでしょうか。そんな時だからこそ「おひとりさまの老後」、この本が大勢の人に読まれているのだろうと思いました。
本書では年を重ねて、一人になった時に「どこでどう暮らすか」「誰とどう付き合うか」「お金はどうするか」「どんな介護を受けるか」「どんな風に最期を迎えるか」の心構えを多くの事例を紹介しつつ読みやすく書かれています。
結婚していようがいまいが、子供がいようがいまいが、核家族化が進んだ現在では「おひとりさま」となる可能性はあります。高齢化社会になり、平均寿命が延びれば延びるほど、その確率は高くなる一方です。それなら子供の世帯と共に暮らせば良いとも言い切れないのが現実です。一緒に住むだけの部屋が無い、共働きの夫婦では親の介護に割けるだけの時間も心のゆとりも無いなど問題は多岐にわたります。では、介護施設はというと何千万円も払って入った贅沢な施設でも、要介護状態になった時に額に見合うサービスが受けられるとは限らないようです。逆に高額を必要としなくても、最期まで満足できるよう工夫を凝らした介護施設も存在します。一人暮らしをしてデイケアという選択もあります。
結局のところは年を取った自分、要介護状態となった自分をどのように受け入れて行動するか、と書かれているように思えました。「自分と子供(親族)」「自分と友人」「自分と介護職員」のように、ひとりの時間を楽しむだけでなく、誰かとの時間も楽しめることが重要です。どんな関係も大事にできなければ、と考えさせられました。
お金である程度の安心や環境は用意できますが、最も重要な部分はそのコミュニケーションに対する心構えだと思いました。平均寿命からも分かるように、「おひとりさま」となるのは女性の確率が高いので基本的には女性向けに書かれた内容ですが、この心構えに関しては男性にも必要なものではないでしょうか。
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老後なんてまだまだ先の話。そう思っていた自分ですら、老後を不安がるだけではなく、楽しむために身につけておくべきことを学んだと感じました。少なくとも、家族や仕事仲間以外にどれだけ気軽に食事に誘える友人がいるか。これは今から実践できそうです。仕事が忙しいからと言って友人との「メンテナンス」を怠ってはいけないと感じました。
数十年後。仕事を引退し、もしも一人で暮らすようになった時、連絡を取り合い食事に誘える友人がどれだけいるだろうか…と考えるとまだ想像できませんが、そこまで続く関係をきちんと築いていきたいと思いました。これを読まれている貴方にはそんな友人が何人くらい思い浮かびますか?
(青木) |