試用期間中の法律関係については、現在では、試用目的に沿って解約権が留保された解雇権留保付労働契約とするのが判例・通説です。
最高裁は、解雇権を行使しうるのは、「採用決定後における調査の結果により、または試用中の勤務状態等により当初知ることができず、または知ることが期待できないような事実を知るに至った場合において、そのような事実に照らしその者を引き続き当該企業に雇傭しておくのが適当でないと判断することが、……客観的に相当である場合」であるとしています。
会社は、職員採用にあたり、履歴書の提出、採用試験・採否決定など内定して試用期間に至るまで、当該労働者の一定の技能を判定する機会はあったわけです。それに加えてさらに試用期間を設けるのは、確定的な労働関係に入るに先立ち、労働者の職業的能力や業務適格性の有無を判断するために一定期間試みに使用してみるためです。ですからそもそも3か月で判定できない売上成績や潜在的能力を判定するための期間ではないというべきでしょう。
では、会社が予定していた能力の「ずれ」に、他の営業マンや技術者との組織的適応能力(簡単に言えば、「仲間とうまくやっていけるか」ということ)は含まれるでしょうか。
この点、学説には争いがあります。(つづく)
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