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平成20年5月1日
第33号

平成20年3月1日施行

労働契約法のポイントと実務上の対応

1.労働契約法ができた理由

就業形態が多様化し、労働者の労働条件が個別に決定・変更されるようになったことから、近年個別労働紛争が増加しています。この紛争解決の手段として裁判制度のほかに、平成13年から個別労働紛争解決制度が、平成18年から労働審判制度が施行されるなど手続き面での整備がなされてきました。しかしこのような紛争を解決するための労働契約に関する民事的なルールをまとめた法律はありませんでした。

「労働時間」や「残業代未払い」の問題であれば「1週の所定労働は40時間、時間外割増は×1.25」といったように労働基準法によって労働条件の最低基準を明確に数値で定められているので「適法か違法か」は明確です。しかし「労働条件の不利益変更、配置転換や出向、解雇」といった問題の場合、労働契約上「有効か無効か」ということが、労働基準法等既存の労働法規では判断できないケースがありました。その場合今までは一般法である民法の「権利濫用」、「信義則」、「公序良俗」といった一般条項を用いて過去に裁判所が示した法律的判断の判例法理に委ねられてきました。

そこで、「判例」などで認められてきた労働契約のルールを法律にし、「有効か無効か?」の判断ルールを明確にして労使間トラブルの未然防止及びトラブル解決のスムーズ化のために「労働契約法」が制定されました。

2.労働基準法と労働契約法の違い

労働契約法は労働契約に関する民法の特別法として位置づけられています。労働基準法は、最低労働条件を下回るような措置を行うことを禁止し、違反した場合には労働基準監督官が使用者を監督指導し、悪質な場合は強制捜査、逮捕・送検、刑事罰もありえます。これに対し、労働契約法は労使間の自主的ルールを定めたもので、労使に対する強制力、罰則規定はありません。

しかし守らなくてよい法律であるはずはなく、同法の規定の多くは確立している判例法理のうち重要な部分を立法化したものであるため、労働契約をめぐる裁判などのトラブルになったらこのように扱われるという、裁判等になった場合の規範となるとともに、トラブル回避のために労使双方が留意しなければならない一定の行動基準となります。そこで労働契約法を正しく理解し遵守することが必要です。

3.労働契約法のポイント

労働契約法のポイントは次の4点です。

イ 【労働契約総則】第1〜5条

  1. 労働契約は、労使が対等の立場で合意に基づき締結・変更すべきであること
  2. 労使は、労働契約を遵守し、誠実に権利を行使し、義務を履行すべきであること
  3. 労使は、お互いに労働契約に基づく権利を濫用しないこと
  4. 使用者は、労働者へ提示する労働条件や締結・変更後の内容について労働者の理解を深めるようにすること、またできる限り書面により確認すること
  5. 使用者は、労働者の生命・身体等の安全を確保しつつ労働できるよう配慮すること

ロ 【労働契約の成立・変更】第6〜13条

  1. 労働契約は、労使が合意することによって成立する。また、契約締結時に就業規則の内容を周知していれば、その内容が労働条件となる。ただし、特約などがあればそちらを優先する(就業規則を下回る内容は無効)
  2. 労働契約は、労使が合意することによって変更することができる
  3. 使用者は、労働者の合意なく就業規則に書いてある労働条件を不利益に変更できない。ただし、例外としてやむを得ない事情などがあり、合理的であれば労働者の「合意」なく変更ができる。ただし、特約などがあればそちらを優先する(就業規則を下回る内容は無効)
  4. 就業規則は、法令や労働協約に違反していないこと

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