本の帯に「脳は年齢に関係なく成長する!」と力強い言葉が書かれている本を見つけました。TVなどでおなじみの茂木健一郎さんの「脳を活かす勉強法」です。
勉強時間が特に多くはなかったという著者が学年トップになれた理由は、勉強をすることが楽しかったから。著者は早くから、結果的に、「脳を喜ばせるためにはどうすればいいのか」を考え、実行してきました。
難しい問題が解けて「やった!」と思った時、脳の中では快感を生む物質「ドーパミン」が分泌されます。そして人間はその行動を記憶し、再現し「ドーパミン」をもっと効率的に分泌させようと、神経細胞がつなぎかわり、新しいシナプス(神経回路網)が生まれます。そして、快感を生み出す行動(難しい問題を解くなど)を再度とりたくなり、何度も繰り返し続けていくため、その行動が上達していくのが「学習」です。この脳内で起こる現象は、年齢や性格等にかかわらず誰にでも起こりうることであり、脳科学的に見れば、人間はだれでも飛躍的な成長を遂げる可能性があるということです。
必要なのは「脳を喜ばせるもの」を見つけること。ただドーパミンは、できることを続けていても放出させません。苦労の末何かを達成した時に「ドーパミン」は大量に分泌されるのです。
シンプルに説明されているので、物足りないと思う人もいるかもしれませんが、勉強法が確立できていない学生には参考になり、すでに見つけ実践している人には共感するところがあり、また再確認できるということもあるのではないでしょうか。私が参考にしたいと思ったのは、「タイムプレッシャー」(制限時間をもうける)、「自分と勉強との距離をゼロにする」(自我と勉強や仕事との区別がなくなるまで集中する)、「細切れ勉強法」(18時になったら始めようなどと思わず、2、3分の時間で集中する)、「記憶回路を使って記憶する」(何かを書き写して記憶する際に、そのものから一度目を離して書き写す)などでした。
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これからの時代を乗り切るために必要なことは、「猛勉強」であると著者は言っています。学問や学習には終わりがありません。テストに受かったことがゴールではなく、試行錯誤しながら長い人生を通して終わりなき「知」の探求をすることに価値があるのです。
「勉強法」とは言っても、学校や受験だけではなく、一生をかけて学習していくためにと書かれた本です。年齢を重ねても、学ぶことに喜びを感じ、少しずつ成長していけたらと思います。
(小川) |