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平成20年7月1日
第34号

裁判員制度に向けて企業は何をするべきか?

刑事事件に国民が参加する「裁判員制度」が平成21年5月21日からスタートします。
制度スタートを控えて、経営者本人や社員が裁判員候補に指名された場合や実際に裁判員に選ばれた場合、企業として「休暇制度」「賃金の取扱い」「非正規社員への対応」等どのように対応するかを具体的に検討する必要があります。
そこで2回にわけて裁判員制度と企業の対応について解説を致します。

1.裁判員制度の基礎知識

■裁判員制度とは?

国民の中から選ばれた6人の裁判員が刑事裁判に参加し、3人の裁判官とともに被告が有罪かとうか、有罪の場合はどのような刑にするかを決める制度です。

■裁判員裁判の対象事件は?

国民の関心の高い一定の重大な犯罪に関する第一審(地方裁判所)の刑事訴訟事件です。
<裁判員裁判の対象事件>
 ・殺人 ・強盗致死傷 ・現住建造物等放火 ・身代金目的誘拐 ・危険運転致死
 ・傷害致死 ・保護責任者遺棄致死 等

■裁判員になる資格は?

裁判員は20歳以上の有権者(衆議院議員選挙人名簿に登録された人)の中から、くじにより無作為に選ばれます。

<裁判員にならない人>
・欠格事由
 国家公務員になる資格のない者、禁錮刑以上の刑に処せられた者、学校教育法に定める義務教育を終了していない者 等

・職業等の事由
 国会議員、国務大臣、行政機関の幹部職員、司法関係者(裁判官、検察官、弁護士。
そうであった人を含む)裁判所・法務省職員、弁理士、司法書士、公証人、司法警察職員、大学の法律学の教授・准教授、都道府県知事、市長村長、自衛官 等

■裁判員を辞退できる場合

法律上裁判員になることは義務とされています。ただし辞退理由として次のいずれかに該当する場合申立てができ、裁判所が認めれば辞退できることになっています。
従って「仕事が忙しい」というだけでは辞退は認められないでしょう。

<辞退の事由>
70歳以上の人、地方公共団体の議会の議員(ただし会期中)、学生・生徒、過去5年以内に裁判員または裁判補充員や検察審査員などの職務に従事した人および1年以内に裁判員候補者としてその選任手続きの期日に出頭した人、やむを得ない事情等により裁判員の職務のための裁判所へ行くことが困難な人(例:重い疾病や障害がある・同居の親族の介護または養育をしている、自分が処理しなければ事業上多大な損害が生じる恐れがある、父母に葬式への出席など社会生活上重要な用務がある)等

■裁判員に選ばれる人数、確率

裁判員は原則として、事件ごとに6人選任されます。また裁判の途中で裁判員の人数が不足した場合に備え補充裁判員(*1)を選任することがあります。
よって試算では約4,160人に1人が裁判員または補充裁判員に選任されるようです。


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