『クビにするなら、して下さいよ。』と言われて、『じゃ、来月から来なくていいよ。』と言って、当該社員を辞めさせた場合、この労働契約の終了を「合意解約」と見ることができるでしょうか。この応答が合意解約と見られるのであれば、会社は、解雇理由も解雇予告手当もなく、この社員との労働契約を終了させることができます。
しかし、本件での『クビにするなら、して下さいよ。』という社員の言葉は、言葉の文脈から「合意解約の申込」を意味しているとはいえません。この社員は、解雇という会社都合の労働契約終了であれば、失業給付をすぐ受給できるというメリットがあり、また場合によっては労働提供なくして解雇予告手当を予告時に取得できるというメリットがあるから、会社に「解雇」という選択をさせているだけというべきでしょう。
本件の「解雇」(懲戒解雇ではない普通解雇)の場合、労働基準法上、解雇理由の制限(18条の2)と解雇予告(20条)が適用されます。
解雇理由の制限については、労働基準法で、判例法理を明文化して、「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。」と規定しています(18条の2)。
客観的・合理的理由と社会相当性とは、具体的には、どのような事情をさすのでしょうか。(次回につづく)
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