「仕事道楽」・・・このタイトルだけでも十分インパクトが有り、一体どんな話なのか、あのスタジオジブリの現場はどうなっているのか?と、読む前から興味津々でした。ちなみに私が一番好きなジブリ作品は「となりのトトロ」です。よくわからない緑色の大きな生き物・トトロに猫バス。でもなんだかとても癒し効果がありませんか?未だにテーマソングを聞くだけで癒されます。そんなトトロを作ったジブリの現場は非常に気になります。
「仕事」と「道楽」なのか、「仕事」が「道楽」なのか?趣味と実益を兼ねたものなのか、趣味が実益なのか・・・本のタイトルを見た時の私の第一印象です。
まず、本の冒頭は著者と宮崎 駿氏と高畑 勲氏との出会い、スタジオジブリができるまでの事、それから数々のジブリ作品が出来上がるまでのエピソードが綴られています。
次々に出てくるアニメのタイトルに「あぁ、これも見たな」と懐かしく思うのは私だけではないはずです。子供の頃に見たアニメ、大人になってから見たアニメ、どちらも心に残っていて、でも今になって再び見てみると感じる事、感動する事が少しずつ変わってきているのが不思議です。
映画が出来るまでの裏話を読みながら、「モノを創るということ」の難しさを実感します。ストーリーしかりキャラクターしかり、更に時代設定、映画のタイトル、宣伝方法。1つのシーンの効果・・・数え上げればきりがないほどですが、それを見事にこなしていく。職人としての個々の能力もさることながら、やはりチームワークなのでしょう。
印象的だったのは、「信頼はするが尊敬はしない」との言葉。「尊敬をすると遠慮がでるからうまくいかない」「尊敬してたらいっしょに仕事はできない」「遠慮会釈なく存分に言い合う事で仕事が成立する」・・・今までの私は社会においても会社においても、尊敬できるか?を重要視してきましたし、尊敬できない人とは仕事はできないと思っていました。根本から覆された気持ちです。
でも、確かにその通りかもしれないと思いました。遠慮して言いたい事を言えないまま、不完全燃焼で仕事がゴールしてしまったり、途中棄権してしまったりしたら全く意味がないですから。 |
言いたい事をお互い言って、そしてそれをお互いが受け入れる。簡単そうですが、言いたい事を言い合い、更に相手の意見も受け入れるのは難しいです。自分の主張がはっきり言える程、相手の意見が受け入れられない事もあります。お互い意固地になったりしませんか?
「そうか、そういう考えもあるんだな」とまず受け入れ、その上で主張する。最終的にはどちらかが折れる事になりますが、「受け入れる」というプロセスの有無ではその後の感情にも大きな差がうまれますし。考えてみれば当たり前の事ですが、私自身もそれを継続し続けているかが疑問です。久しぶりに、「確かになぁ・・・」と実感しました。
最後に、「ジブリ」の由来はサハラ砂漠に吹く熱風の事で、宮崎監督が「日本のアニメーションに旋風を巻き起こそう」と命名したとか。しかし正しく発音すると「GHIBLI」はイタリア語で「ギブリ」だった。もしかしたら「スタジオ ギブリ」だったのかもしれないですね。
(大塚) |