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「賃金等の待遇」についての判断要素

1.基本給、役職手当等の優遇措置
基本給、役職手当等の優遇措置が、実際の労働時間数を勘案した場合に、割増賃金の規定が適用除外となることを考慮すると十分でなく、当該労働者の保護に欠けるおそれがあると認められるときは、管理監督者性を否定する補強要素となります。

2.支払われた賃金の総額
一年間に支払われた賃金の総額が、勤続年数、業績、専門職種等の特別の事情がないにもかかわらず、他店舗を含めた当該企業の一般労働者の賃金総額と同程度以下である場合には、管理監督者性を否定する補強要素となります。

3.時間単価
実態として長時間労働を余儀なくされた結果、時間単価に換算した賃金額において、店舗に所属するアルバイト・パート等の賃金額に満たない場合には、管理監督者性を否定する重要な要素となります。
特に、当該時間単価に換算した賃金額が最低賃金額に満たない場合は、管理監督者性を否定する極めて重要な要素となります。

多店舗展開する小売業、飲食業等の店舗における管理監督者の範囲の適正化について http://www.mhlw.go.jp/houdou/2008/09/h0909-2.html
なお、厚生労働省は10月3日、9月9日付の通達について「一部に管理監督者の範囲について誤解を生じさせかねないとの意見がある」ことを踏まえて、その周知、監督指導に当たって留意すべき事項を都道府県労働局に通達しました。あわせてご覧ください。

9月9日通達に関するQ&A
http://www.mhlw.go.jp/topics/2008/10/tp1003-1.html

この通達は「多店舗展開する小売業、飲食業等の店舗における管理監督者の範囲」を示しただけのものですが、他の業種であっても十分に判断基準となるものであり、今後、ますます管理監督者に関する議論が活発化していくことでしょう。 またこれからの労働基準監督署の調査は従来以上に厳しくなると予想されます。御社におかれましても早めの対応をお勧めします。

(菅原)


改正パートタイム労働法導入後の調査

2008年4月1日より、改正パートタイム労働法が施行され、施工後5月~6月に、全国4000社あまりを対象とした対応調査を行った結果が発表されました。

現在、パートタイマー・フルタイマーの雇用状況は、回答企業の76%が雇用しており、従業員数300名以上の企業では80%以上がパートタイマー・フルタイマーを雇用しています。就業形態の多様化が進み、正社員以外のパートタイマーやフルタイマーを雇用する企業は増加傾向にあります。

今回の改正パートタイム法労働法では、パートタイマーと正社員との差別的待遇の禁止、均衡の取れた待遇の確保(賃金・教育訓練・福利厚生等)、正社員への登用促進がポイントとなっており、またパートタイマーは正社員との異なり労働条件が就業規則等で明確になっていないケースが多いことから、文書等での労働条件明示を義務付けられました。

改正パートタイム労働法の施行に伴い、パートタイマーの処遇を「見直した」企業は48.1%、「特に見直していない」企業は51.9%と拮抗する結果となっています。ただし、「特に見直していない」企業には、施行前から今回の法改正の内容は既に実施していた企業があるためと考えられています。

見直した内容は、「パートタイマーの正社員への転換を推進するための処置を講じた」が55.7%と過半数に上ります。次に、「正社員とパートタイマーの職務内容の区分を厳格にした」「パートタイマーの処遇(賃金・諸手当・賞与支給等)を変更した」と続きます。

また、「賃金」「賞与」「退職金」等を含む7項目を取り上げ、正社員との均衡待遇の実施状況を調査しました。
「賃金」については、「法改正に関係なく従来から均衡待遇を実施している」企業が63.6%と大半を占め、また「法改正に伴い実施」「実施検討」を含めると90%以上と、ほとんどの企業が法改正に対応できている・対応予定との結果となりました。

しかし、「賞与」は62.5%、「退職金」は77.8%が均等待遇を「実施していない」という結果となり、法改正に伴う均衡待遇の実施が賞与や退職金では皆無という調査結果になり、企業がパートタイマーを雇用する最大の理由は「人件費の効率化」であるが故に、人件費増加に直結する「賞与」や「退職金」をすぐに正社員と同等待遇に引き上げることは、困難という結果が表れているようです。

今回の改正パートタイム労働法では、重要な改正が多く含まれており、迅速かつ確実な対応が求められていますが、企業に負担を強いているわけではなく、個人が十分に能力を発揮することにより労働生産性を高め、互いに認め合える職場作りを求めているのです。

(大塚)


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