業務外の病気やケガによって働けなくなった際に、健康保険から傷病手当金が支給されます。傷病手当金は休業中の所得を保障し、働けなくなった日の4日後からおおよそ給与の3分の2に相当する額が、支給開始日から1年6か月の期間まで支給されるというものです。
健康保険法改正により、令和4年1月1日から、この1年6か月という期間の計算方法が変更されました。
これまでは、支給開始から起算して1年6か月の期間に休業した日が支給対象でした。例えば令和2年1月1日から傷病手当金の支給を開始した場合、最長でも令和3年6月30日までの支給となります。これは、一度職場復帰して手当が不支給となり、その後同じ病気やケガで休業した場合でも、令和3年6月30日までが支給を受けられる期間ということです。
これでは、がんや適応障害など、長期の治療が必要な病気で、出勤したり休んだりを繰り返しているような場合にも、暦日で1年6か月までしか受給できないため、支給が不十分となってしまいます。
法改正により、この1年6か月の期間が通算で判断されることとなりました。これにより、一度職場復帰して不支給となり再度同じ傷病で休業した場合、不支給の期間を除くことができ、休業期間を通算して1年6か月まで手当の受給が可能となります。
出勤したり休んだりを繰り返している場合にも、出勤している期間は、傷病手当金の支給期間は減少しませんので、再度同一傷病により休業となった場合にも通算で最大1年6か月の期間支給が受けられるようになります。
支給期間の通算化は令和4年1月1日より施行されますが、すでに支給を開始している傷病手当金についての取り扱いはどうなるのでしょうか。
施行日前に改正前の規定による支給期間が満了した傷病手当金については、改正前の規定に従うこととなります。ですので、令和2年7月2日以後に支給を始めた傷病手当金については、令和4年1月1日時点で1年6か月を経過していないため、改正後の規定が適用され、支給期間が通算で判断されます。