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機関紙 KAWA-RA版 労務管理や社会保険に関する話題の情報を、
タイムリーにお届けする当事務所オリジナルの機関紙です。

第123号 令和5年5月1日

伴弁護士の法律の窓

【テーマ】

パワ-ハラスメントへの対応

【質問】

従業員Aから、Aの上司である従業員Bからパワハラを受けているとの相談がありました。事業主としてどのように対処すべきでしょうか。また、現在事業主としてパワハラ対策は特に講じていませんが、今後パワハラの発生防止に向けて何をすべきですか。

【回答】

Aからの相談について、事業主としてA及びBから事情を聴取する等して、パワハラに該当するか否かを判断する必要があります。また、今後はパワハラ防止のため一定の措置を講じる必要があります。

【説明】

  1. パワハラ防止措置の義務化について
    令和元年5月に通称パワハラ防止法(労働施策総合推進法)が成立し、令和2年6月から、パワハラ問題に適切に対応するために雇用管理上の措置を講じることが大企業の義務となりました。令和4年4月からは、対象が中小企業を含めた全事業主に拡大されました。

    事業主が講じるべき措置の内容については、厚生労働省が指針を定めています。当該指針は、①事業主の方針の明確化及びその周知・啓発、②相談に応じて適切に対応するために必要な体制の整備、③職場におけるハラスメントへの事後の迅速かつ適切な対応、④併せて講ずべき措置(プライバシー保護、不利益取扱いの禁止等)を講じなければならないと定めました。各措置の具体的なポイントその他指針の詳細は、厚生労働省のホームページ等でご確認ください。

    事業主が措置を講じることを怠ったことそれ自体に対する罰則規定はありませんが、厚生労働省による助言、指導、勧告の対象となります。勧告に応じない場合には事業主名が公表されるおそれがありますので、注意してください。
  2. Aからの相談の対応について
    従業員からパワハラ被害の相談について、事業主は、事実関係を迅速かつ正確に確認して、パワハラの該当性を判断する必要があります。AとBの双方の言い分を直接聞くことはもちろんですが、必要に応じて第三者(目撃した他の従業員など)からも事情を聴取すべきです。

    Aから聴取を行う場合、Aは相談すること自体に様々な不安を抱えていますので、まずは相談事項をよく聞くことに徹し、できる限り反論や否定をしないようにすることが重要です。また、その後の対応の流れを説明することや、相談したこと自体がAの不利益にはならないことを説明し、Aの不安を解消させるべきです。

    他方、Bからの聴取を行う場合、パワハラを行ったと決めつけないように配慮をすることが大切です。また、Aが相談したことを理由として、Aに対する報復行為や不利益な扱いをしてはならないことを説明すべきです。

    なお、聴取する人物は、できる限り当事者と中立的な者が担当し、かつ、プライバシーが守られる場所で行うなどの配慮も必要です。

    そして、聴取して得られた情報から、Aが主張するBの言動の有無及びパワハラと評価できるか否かを判断します。パワハラに該当すると判断できる場合、Bに対する懲戒処分や人事上の措置を検討・実施して再発防止を図り、かつ、その旨をAに報告して就業環境を改善すべきです。パワハラに該当しないと判断した場合には、その判断に至った理由をAに対して丁寧に説明すべきでしょう。

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