我が国の非正規雇用労働者の賃金水準は欧州諸国と比べて低い状況にあり、不合理な待遇差の解消を目的とした非正規雇用労働者の待遇改善は重要な政策課題です。
そこで、政府は、非正規労働者の待遇改善のため、正規雇用労働者との待遇差の解消に取り組むこととし、同一労働同一賃金の実現に向けて、法律改正を検討しています。
これに伴い、昨年末に、どんな場合に待遇の差が問題になるかを示すガイドラインの案を政府がまとめました。今回は、このガイドラインの案について、問題となる例をご紹介します。
・基本給について労働者の職業経験・能力に応じて支給しているE社において、無期雇用フルタイム労働者であるXが有期雇用労働者であるYに比べて多くの職業経験を有することを理由として、Xに対して、Yよりも多額の支給をしているが、Xのこれまでの職業経験はXの現在の業務に関連性を持たない。
・基本給の一部について労働者の業績・成果に応じて支給しているC社において、無期雇用フルタイム労働者が販売目標を達成した場合に行っている支給を、パートタイム労働者であるXが無期雇用フルタイム労働者の販売目標に届かない場合には行っていない。
(注)基本給とは別に、「手当」として、労働者の業績・成果に応じた支給を行おうとする場合も同様である。
・基本給について労働者の勤続年数に応じて支給しているB社において、有期雇用労働者であるXに対し、勤続年数について当初の雇用契約開始時から通算せず、その時点の雇用契約の期間のみの評価により支給している。
・賞与について、会社の業績等への貢献に応じた支給をしているC社において、無期雇用フルタイム労働者であるXと同一の会社業績への貢献がある有期雇用労働者であるYに対して、Xと同一の支給をしていない。
<問題となる例②>・賞与について、D社においては、無期雇用フルタイム労働者には職務内容や貢献等にかかわらず全員に支給しているが、有期雇用労働者又はパートタイム労働者には支給していない。
・役職手当について役職の内容、責任の範囲・程度に対して支給しているC社において、無期雇用フルタイム労働者であるXと同一の役職名(例:店長)で役職の内容・責任も同一である役職に就く有期雇用労働者であるYに、Xに比べて低額の役職手当を支給している。
ご参考になりましたでしょうか、事業所様においては、これらの例から、特に賞与の取扱いは早めの準備・検討が必要かと思われます。