4月に入社した従業員がいる事業所も多いかと思います。入社から1か月が経ち、着実に仕事に慣れてきていることかと思います。そこで、入社1年目の従業員が思うことの上位に必ず入るであろうこと。それは「有給休暇早くもらえないかな?」です。今回は有給休暇について、管理の方法等を確認していきます。
労働基準法では、雇い入れから6か月継続勤務して、全労働日の8割以上出勤した労働者に対して10日間の年次有給休暇を付与すると定められています。従って、雇い入れ日から6か月後が付与基準日となります。
例)①入社日:平成29年4月1日 → 付与基準日:平成29年10月1日
②入社日:平成29年11月25日→ 付与基準日:平成30年5月25日
このように、従業員の入社日によって付与基準日が異なることになるため、管理が煩雑となります。特に、中途採用者の多い会社では、人の数だけ付与基準日があることになります。給与ソフトにはたいてい有給休暇の管理機能が備わっていますが、それでも中々使いこなせず、有給の管理だけはExcelや手書きで別管理をしているケースもまだまだ多いようです。
そこで、次の要件を満たす場合には、会社独自の付与基準日を設定して、労働者の有給付与を斉一的に取扱うことが認められます。
基準日を統一する場合、多くの会社では、年度の初めである4月1日または、4月1日に定期採用者が入社することが多いためその6か月後である10月1日を基準日とすることが一般的です。以下のように基準日を複数設けることも可能です。
10月1日に入社した方も、3月1日に入社した方も同じく4月1日に有給が付与されます。このように、入社日の違いにより基準日までの期間に大きな差がでることがあり不公平感は否めません。また4月1日入社の場合は入社時に付与するということにも注意が必要です。4月2日~9月30日までに入社した方は、初回は法定通りの入社日から6か月後に10日間付与され、その後迎える4月1日に11日間付与されます。
4月1日から9月30日までに入社した方には、10月1日に10日間付与し、翌年4月1日に11日間付与します。10月1日から3月31日に入社した方には、4月1日に10日間付与し翌年は11日間付与することになります。
「勤務実績がないのに、10日も有給を与えるのには抵抗がある」という場合には、以下のように、初年度に付与する有給の一部だけ前倒しして、残りを法定の基準日に付与するという方法も認められています。ただし、分割付与が認められているのは、初年度付与分に限られます。いずれのケースにしても、法定基準日までに、法定日数を付与しなければならないことに変わりはありません。
初年度の法定基準日に付与する10日間の年次有給休暇のうち、5 日分を繰り上げて入社時に付与し、残りの5日を入社6か月経過後の法定基準日に付与する方法です。次年度の付与は、初年度に6か月間繰上げたことから、前年度と同様に法定基準日を6か月繰り上げ、4月1日に11日間の年次有給休暇を付与することになります。
以上のように、基準日を統一する場合、多少の不公平感は否めませんが、管理および不公平感とのバランスを考えた場合、基準日を2回にする方がベターではないでしょうか。自社の環境・状況に合わせた制度設計により、様々な方法が考えられます。具体的な相談等ございましたら、お気軽にご連絡ください。