【質問】
残業代(割増賃金)は、基本給だけを基礎に計算すればよいのでしょうか?
手当も含める必要がありますか?
【回答】
労働基準法は「通常の労働時間又は労働日の賃金」をもとに割増賃金を計算することを定めており、ここにいう賃金とは、賃金、給料、手当その他名称を問わず、労働の対価として使用者が労働者に支払うすべてのものを指すので、基本給、手当の区別なく、原則は全て割増賃金を算定する際の基礎に含めなければなりません。しかし、以下の賃金は割増賃金の基礎に算入しないことが特別に定められており、これらにあたるものだけは除外することができます。
上記の除外賃金にあたるか否かは、手当の名前から判断するのではなく、その実質によって判断されます。
たとえば、1.の家族手当は扶養家族数を基準とする手当でなければなりません。扶養家族がある者だけに支給される手当であっても、家族数に関係なく一律に同じ額を支給する手当は除外賃金にはあたりません(行政解釈)。
5.の住宅手当は住宅に要する費用に応じて算定される手当をいいます。たとえば賃貸住宅居住者には2万円、持家居住者には1万円を支給する手当は、実際の費用と関係なく一律に支給される手当なので除外賃金にはあたりません(行政解釈)。
6.の臨時に支払われる賃金は、結婚手当など臨時的、突発的な事由に基づいて支払われる手当です。
7.の1か月を超える期間ごとに支払われる賃金は以下の4種類があります。以下の4種類と上記6.にあたらない賃金は、そもそも1か月を超える期間ごとに支払うことが違法なので、2か月に1回払っていても除外賃金になりません。
上記4種類が除外賃金とされたのは計算上の困難を避けるためと理解されています。そのため、たとえ形式上は1か月を超える期間にわたる事由で算定される奨励加給であっても、1か月単位で支給を決定することが困難または不適当だという事情がない場合には除外賃金にあたらないという見解があります。この点、名古屋地方裁判所平成3年3月29日付判決は、2か月を通じて無事故の従業員に1万円が、1か月を通じて無事故の従業員に5000円が、報奨金として2か月に一度支払われていた事案で、1か月ごとの算定が可能であることなどを理由に、除外賃金とはならず割増賃金の基礎に含めると判示しています。
上記のとおり除外賃金にあたるか否かは厳格に判断されるため、間違いがないように注意が必要です。