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第111号 令和3年5月1日

無期転換後の労働者に正社員の就業規則は適用されるか

ハマキョウレックス事件(令和2年11月25日 大阪地裁判決)

無期転換とは、有期労働契約が更新されて5年を超えたときに、労働者の申込みにより、期間の定めのない労働契約(無期労働契約)に転換されるという労働契約法に定めのあるルールです。すでに、皆様の事業所においても有期雇用のパート・アルバイト等から契約期間の定めのない無期雇用に転換された方もいらっしゃるかもしれません。
そこで、無期雇用に転換された後の労働条件はどうなるのか?正社員の就業規則が適用されるようになるのか?という疑問に対し裁判所の判断が出されましたのでご紹介させていただきます。

事案の概要

労働者は、平成30年4月1日、会社に対し、労働契約法に基づき、現在の有期労働契約の契約期間が満了する平成30年9月30日の翌日である同年10月1日から無期労働契約の締結の申し込みをし、無期雇用に転換された。
会社は、労働者からの無期転換の申し込み以前の平成29年10月1日付けで、有期の契約社員に適用されるパートタイマー就業規則を変更し、無期転換者も当該規則が適用される旨および「現に締結している有期労働契約の内容である労働条件(契約期間を除く。)と同一の労働条件とする。ただし、無期契約社員との合意のうえ、異なる労働条件を定めることができる。」旨を追記した。
労働者は、転換後の労働条件について、正社員に適用される就業規則によるべきであると主張して、会社に対し正社員との賃金差額を請求した事案である。

裁判所の判断

正社員の就業規則は適用されない。

実務上の対応について

労働契約法18条により、無期転換後の労働条件は、労働契約期間の定めがなくなることを除いて従前の労働条件と同一であるとされています。しかし、この点を明確にするため、今回の事案のように、就業規則を改定し、無期転換者には正社員の就業規則が適用されない旨を明示しておくことが望まれます。
なお、無期転換されても同一労働同一賃金法の適用はございますので、正社員との待遇差については引き続き改善の検討が必要となる点にご注意願います。
また、無期転換制度や同一労働同一賃金法につきまして、ご疑念・ご不明な点等ございましたらご連絡いただければ幸いです。よろしくお願いいたします。

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