所定労働時間とは、会社が定める労働時間のことです。1日の所定労働時間については、8時間の会社が多いかと思います。7時間30分、7時間などの会社ももちろんあると思います。1日の所定労働時間について把握していない会社はまずないと思います。
ただし、月平均所定労働時間となると、把握ができていないケースが多いようです。月平均所定労働時間は、1年間の合計の所定労働時間を、12(1年の月数)で割り、1か月あたりの平均の所定労働時間を算出したものです。1年の中には、月により31日や30日、28日までしかない月もあります。この月平均所定労働時間は残業代の計算方法の基礎となる重要なものです。残業代計算を正確な計算に近づけることができるようしっかりと把握の上、毎月の給与計算での残業代計算をしていきたいものです。
月平均所定労働時間は、以下の計算式によって算出します。なお、以下の計算式の「(365日-1年間の休日合計日数)×1日の所定労働時間」で算出した時間のことを、年間所定労働時間と呼びます。
この年間所定労働時間を12で割ったものが、月平均所定労働時間になります。
月平均所定労働時間の計算式
月平均所定労働時間=(365日(※)-1年間の休日合計日数)×1日の所定労働時間数÷12か月
※閏年は、366日として計算
例1:1日の所定労働時間8時間、年間260日勤務(休日105日)の場合
(365日-105日)×8時間=2,080時間・・・・・年間所定労働時間
2,080時間÷12か月=173時間20分・・・・・月平均所定労働時間となります。
例2:1日の所定労働時間7時間、年間245日勤務(休日120日)の場合
(365日-120日)×7時間=1,715時間・・・・・年間所定労働時間
1,715時間÷12か月=142時間55分・・・・・月平均所定労働時間となります。
残業代の計算について、月平均所定労働時間は、分母となる(割り算する)項目になります。つまり、基準内賃金や割増率、時間外労働時間が同じであれば、月平均所定労働時間が多いほど、残業代(残業1時間あたりの単価)は低くなり、月平均所定労働時間が少ないほど、残業代は高くなります。一般的には、中小企業では1日の労働時間が長く、年間休日も少ない、どちらかと言うと、「例1タイプ」が多く、大企業では、その逆に「例2タイプ」が多いと思います。
年度が変わったばかりですが、残業代が足らなかったり、不必要に多く支払いをしていないか、このタイミングで確認しましょう。不明点等は事務所までお気軽にご連絡ください。