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機関紙 KAWA-RA版 労務管理や社会保険に関する話題の情報を、
タイムリーにお届けする当事務所オリジナルの機関紙です。

第121号 令和5年1月1日

伴弁護士の法律の窓

【テーマ】

歩合給と残業手当

【質問】

当社は、基本給24万円に加えて、従業員が販売した商品の額に応じて毎月歩合給を支給しています。
従業員の残業代は、基本給24万円についてのみ計算していますが、正しい処理でしょうか?

【回答】

処理が誤っています。歩合給の部分も残業代(割増賃金)の支払いが必要です。

【説明】

  1. 割増賃金は基本給のみならず、歩合給にも発生します。
  2. 金額固定の月給制の場合、割増賃金は、給料月額を1か月の所定労働時間数で割り、時間単価を計算したうえで、次の割増率をかけて計算します。

        時間外労働 25%
        休日労働  35%
        深夜労働  25%

    たとえば、1日の所定労働時間数が8時間、1年の所定労働日数が240日、月給が24万円、時間外労働が20時間だとすると、残業代として支払う額は次のとおりになります。

        1か月の所定労働時間=(8時間×240日)÷12か月=160時間
        時間単価=24万円÷160=1500円
        割増分 1500円×25%=375円
        残業代単価=通常賃金分1000円+割増分375円=1875円
        残業代総額=時間外労働20時間×1875円=3万7500円

  3. それでは歩合給の場合、どのように割増賃金を計算するのでしょうか?
    歩合給の割増賃金を計算する場合の時間単価は、所定労働時間によらず、実際に勤務した総労働時間によって計算します。計算式は次のとおりになります。

        歩合給の時間単価=歩合給の額÷総労働時間

    たとえば1か月の歩合給が24万円で、その月の総労働時間が180時間(うち時間外労働20時間)だとすると、残業代の計算は次のとおりになります。

        時間単価=24万円÷180時間=1333.3円
        割増分=1333.3円×25%=334円(端数切上の場合)
        残業代単価=334円
        残業代総額=時間外労働20時間×334円=6680円

    歩合給の場合、時間外労働の賃金のうち通常の賃金分が歩合給の中に含まれていると考えるので、追加で支払う必要があるのは25%の割増分だけとなります。そのため、歩合給の方が残業代として支払う額が低くなります。
    貴社の場合、基本給と歩合給が組み合わされているので、それぞれについて、別々に残業代を計算したうえで支給する必要があります。

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