従業員が一定数以上の規模の事業主は、障害者雇用率制度により、従業員に占める身体障害者・知的障害者・精神障害者の割合を「法定雇用率」以上にする義務があります。この制度は、障害者について、一般労働者と同じ水準において常用労働者となり得る機会を確保し、保障するというものです。
民間企業の「法定雇用率」は2.3%です。従業員を43.5人以上雇用している事業主は、障害者を1人以上雇用しなければなりません。この障害者の雇用状況は、毎年報告が必要となり、6月1日現在における対象障害者の雇用状況を、7月15日までにハローワークへ報告します。
●「障害者」の範囲障害者雇用率制度の上では、身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳の所有者を算定対象としています。
●短時間労働者、重度障害者の算定人数の算定にあたって、短時間労働者として雇い入れる場合は、その1人をもって、0.5人としてみなされます。ただし、精神障害者である短時間労働者で、次の①かつ②を満たす方については、1人をもって1人とみなす特例があります。
➀新規雇入れから3年以内の方、又は、精神障害者保健福祉手帳取得から3年以内の方
➁令和5年3月31日までに、雇い入れられ、精神障害者保健福祉手帳を取得した方
また、重度身体障害者、重度知的障害者である労働者については、その1人をもって、2人としてみなされます。
なお、重度障害者である労働者が、短時間労働にて勤務した場合は、その1人をもって、1人としてみなされます。
障害者の雇用に伴う事業主の経済的負担の調整を図るとともに、全体としての障害者の雇用水準を引き上げることを目的に、雇用率が未達成の企業から納付金を徴収し、雇用率を達成している企業に対して調整金を支給しています。
この制度は、常時100人を超える労働者を雇用する事業主に適用され、金額は次の通りです。
・法定人数を下回る人数の障害者を雇用している場合、納付金として、下回った人数×50,000円が徴収されます。
・法定人数を超える人数の障害者を雇用している場合、調整金として、超えた人数×27,000円が支給されます。
障害者雇用にあたっては、職場作りなど様々な配慮が必要となります。ハローワークをはじめとした、障害者雇用に関する専門の相談・支援機関をご確認ください。
週1~2日のアルバイトやパートの方について、フルタイムで働いている人から見ると毎日出勤しないため、休み(年次有給休暇)をとること自体がよくわかっていない方がまだまだたくさんいるようです。年次有給休暇について基本的なことをまとめます。
◆年次有給休暇の付与要件この2つの要件を満たした労働者には年次有給休暇が付与されます。また、最初に年次有給休暇が付与された日から1年を経過した日に➁と同様要件(最初の年次有給休暇が付与されてから1年間の全労働日の8割以上出したこと)を満たせば、勤続期間によった以下の表の日数の年次有給休暇が付与されます。
◆年次有給休暇の付与日数【表1】※一般の労働者(週所定労働時間30時間以上、所定労働日数が週5日以上の労働者、又は1年間の所定労働日数が217日以上の労働者)
◆所定労働日数が少ない労働者の比例付与日数【表2】冒頭に書きました所定労働日数が少ないアルバイトやパートの労働者についても年次有給暇は付与されます。ただし、上記の場合よりも少なく、比例的に付与されます。具体的には、次の表の日数となります。
※週所定労働時間が30時間未満で、かつ、週所定労働日数が4日以下、又は1年間の所定労働日数が48日から216日までの労働者
※1年間の所定労働日数が48日未満であれば年次有給休暇は付与されません。48日というのは、月に4日勤務の場合4日/月×12か月=48日となりますので、月に4日未満のケースです。
以上のように、アルバイトやパートでも有給休暇は付与されます。ただし、その労働者の1日の所定労働時間によって年次有給休暇1日分の時間は異なりますのでご注意ください。例えば、時給1,100円、週3日で1日4時間の所定労働時間の場合(週所定労働時間12時間)は有給休暇1日分の金額は1,100円×4時間=4,400円となります。
時給の方が多く、また所定労働時間が労働者ごとに異なる場合は計算式も人ごとに異なります。給与ソフトによっては個人のマスタ設定にて所定労働時間を設定することが可能ですので、今一度確認をお願いします。