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機関紙 KAWA-RA版 労務管理や社会保険に関する話題の情報を、
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第49号 平成23年1月1日

寺崎弁護士の法律の窓

職場の飲み会の帰り、帰る方向が一緒ということで妻子ある上司の主任と二人だけになったとき、上司から無理矢理キスをされました。
私は、拒絶して抵抗はしましたが、それでもその行為は数回にわたりました。そのことがショックで、私は、「適応障害」となり、現在、会社に出勤できていません。会社には電話で上司のセクハラの事実を報告して、上司を退職させてくれないと、今の状態では出勤できませんと答えました。
しかし、会社は、上司を配置転換するだけで、解雇はしていません。私が会社に求められるのはどこまででしょうか。(本件では、上司に対する損害賠償請求が認められるのはもちろんのことです。)

川口社労士法人 協力弁護士 寺崎時史氏 前回、無理矢理キスをする行為が強制わいせつ罪になりますが、被害者が刑事告訴をすると上司が徹底否認をすることで、事件が「藪の中」に入ってしまう可能性があると述べました。いわゆる警察沙汰になると、加害者も逮捕・勾留されたり、前科が付いたりするなど失うものが多く、それを恐れて事実を素直に認められなくなるからです。そこで考えるべきは、「示談」の効能です。昨年の暮れ、マスコミを賑わした歌舞伎役者に対する傷害事件でも「示談」の話が持ち出されました。被害者が加害者を宥恕することで、加害者は警察沙汰になったときに失うものを失わなくて済むことになりますし、会社内での立場も確保できることになります。これが加害者が加害行為を認め、被害弁償をすることのインセンティヴになります。もちろん、お金をもらったから被害者の心の傷がすぐに癒える訳ではありませんが、損害賠償という形で、一つの解決を図ることになります。

これを労使関係から見ていくと、職場内での火種が小さくなったといえます。示談によって、上司の解雇は回避されることで、会社にとっては、被害者の女性からの上司の解雇要求もなくなります。しかし、会社は、事実関係を確認した上で、上司に対し、譴責程度の処分はなすべきでしょう、

さらに、会社内はもちろん、会社外でのセクハラが、多くの女性職員の仕事遂行の支障となることは間違いありません。そこで、会社の職場環境整備をする必要があります。

このガイドラインとして、厚生労働省作成の「セクシュアルハラスメント対策に取り組む事業主の方へ」というパンフレットが参考となります。厚生労働省のHPにアクセスして、「セクシュアルハラスメント対策に取り組む事業主の方へ」を検索して下さい。

ひとりごと

新年明けましておめでとうございます。
さて、昨年来政府は経済成長を声高に言っています。しかし、今の日本で経済成長など考えられるのでしょうか。これだけ技術が進歩し、さらに進歩する領域は当然狭まってくるからです。これに対し、アメリカのような更なる大量消費社会(一人の人が同じ物をたくさん持つという意味)によって成長が考えられるという指摘もあるかと思います。しかし、日本の消費者には、もう十分これ以上はいらないといった揺り戻し感覚も増大してくるのではないでしょうか。日本はアメリカと違い国土が狭く、個人レベルでは、しまうところがないからこれ以上物を増やしたくないと考え、国家的にも捨てる場所がないからこれ以上物を増やしたくないという考えが潜在的にあると思います。だから、日本国内においての経済成長など考えていては、いつまでたっても何も進まず、閉塞感ばかり膨らむだけでしょう。雇用も創出されません。しかし、世界にはまだまだ成長していく社会は存在します。今の日本の技術も役に立つ社会が世界にはあるのです。なぜ、技術というと進歩ばかり追うのでしょうか、今ある技術を活用する途を考えないのでしょうか。日本も国内だけの経済成長を考えていたのではいつまでたっても成長せず、成長を望むことだけが唯一の楽しみになるのは残念です。新年を迎えるにあたり少し他人事のように話しをしてしまい申し訳ありません。今年は卯年ですので、私も年男として飛躍できるようがんばりたいと思います。皆様の業績も跳ね上がるよう祈願しています。今年もよろしくお願いします。

編集後記

正月と言えばおせち料理。昔は、家で年末から仕込み始め、1月1日には重箱に詰められたおせち料理が並んでいました。我が家では子供が多かったせいか、とにかく人気があったのは栗きんとんでした。かなりの争奪戦で、1日の夜にはほとんどなくなっていたものです。小学生高学年くらいから、おせち料理の手伝いをさせられましたが、栗きんとんを作るために裏ごしをするのがとにかく大変なことと、黒豆をふっくらしわを作らず炊き上げることが難しく、おせち料理の手間暇にただただ圧倒されていました。 昨今では、豪華なおせち料理を販売し、購入することが多くなり、我が家も家で作るおせち料理の種類は半分以下になりました。それでも、相変わらず栗きんとんと黒豆、お雑煮だけは作り続け、今では母となった妹達も子供たちのために悪戦苦闘しながら作っています。こうやって、毎年毎年、家庭の味を受け継いでいくのだなぁと、お正月になるとつくづく実感するようになりました。

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