自転車運転時の事故で発生する損害は、大きく2つに分かれます。一つは、運転者自身のケガや死亡についての損害。もう一つは、事故の相手方にケガを負わせた場合や、物を壊した場合の賠償責任です。賠償責任については、高度障害を負わせた場合に6,000万円程度の賠償を認めた事例があります。
また、通勤で自転車を使用していた場合の、会社の責任については、2011年6月3日付かわら版臨時号をご覧ください。
自転車事故におけるリスクを低減するためには保険の加入が有効です。そこで、保険会社の種別ごとに自転車保険について検討します。
①自転車専門の保険
自転車専門の保険は、保険料が安いのが特徴です。ただし、補償額は大きくありません。
一般に広く普及している保険として、TSマーク付帯保険というものがあります。自転車を購入した場合や、整備をしてもらった場合に付けられるTSマークに保険が付いているものです。つまり、保険だけ入ることはできません。あくまで、整備を受けることが前提です。よって、保険料ではなく、整備費用の中に保険料が含まれていることになります。整備費用は自転車の状態によって違いますが、数千円程度です。補償内容は次の通りです。
②損害保険会社の保険
損害保険会社の保険の場合、運転者本人に対する補償である傷害保険の加入を前提に、相手方に対する賠償保険を付帯するという形で加入することになります。そして、傷害保険の補償が厚いほど保険料が高くなるのが特徴です。
※自転車を業務上で使用していた場合の事故は、補償の対象外となりますから注意が必要です。
①傷害補償の目安
一概にはいえませんが、次のような要素を勘案して決めることになると思います。
(ア)カバーする人的範囲について
契約者本人以外の人が運転した場合も補償の対象に含めるか。また、子供を乗せることがある場合は、子供がケガや死亡した場合も補償の対象に含めるかによって補償範囲を検討します。
(イ)生命保険の加入状況
他の生命保険に加入している場合、疾病・死亡等について保険金が支払われますので、その金額を考慮して補償額を検討することが必要です。
②賠償保険の目安
自転車事故の場合、自動車事故の場合と違って、運転者の責任範囲は狭いという傾向があります。ただ、6,000万円程度の賠償責任が認められた事例もあります。そこで、5,000万円程度を目安に検討されるとよいと思います。
①三井住友海上火災の場合
②富士火災の場合