受け入れている派遣労働者を直接雇い入れた事業主の方への給付金があります
助成金と一言で言ってしまっても、数限りなく存在する助成金の中から選ぶことは難しい作業になるかと思います。今回は、そんな助成金の中から一つご紹介をさせていただきます。
派遣労働者雇用安定化特別奨励金
派遣労働者を直接雇用する派遣先である事業主に対して、労働者派遣契約の終了前に、無期又は6か月以上の有期の労働契約を締結した場合に、奨励金が支給される制度があります。ここでは主だった要件をご案内いたします。
受給要件
助成金と一言で言ってしまっても、数限りなく存在する助成金の中から選ぶことは難しい作業になるかと思います。今回は、そんな助成金の中から一つご紹介をさせていただきます。
- 雇用保険の適用事業の事業主であること
- 派遣先である事業主であって、6か月を超える期間継続して労働者派遣の役務の提供を受けた事業主
- 労働者派遣の期間の終了の日までの間に、当該派遣先に雇用されることを希望するものとの間で、期間の定めのない労働契約又は6か月以上の期間の定めのある労働契約(当該労働契約が更新されることが明示されているものに限ります)を締結し、雇用保険の被保険者として引き続き6か月以上雇い入れる事業主
- 基準期間(雇い入れの日の前日から起算して6か月前の日から、奨励金の受給申請書の提出日までの間)において、退職勧奨等の事業主からの働きかけによる退職を含む解雇をした事業主ではないこと
- 基準期間において、特定受給資格者となる離職理由により3人を超え、かつ、被保険者数の6%に相当する数を超えて離職させた事業主ではないこと
- 奨励金の支給決定等に必要な労働関係帳簿(出勤簿、タイムカード、労働者名簿等)を整備し、派遣先管理台帳を作成し、記載し、及び保存している事業主
受給できる額
受給できる額は、支給対象期および、締結した労働契約が無期なのか有期なのかによって変わってまいります。
- 1期:雇入れの日から起算して6か月が経過する日まで
- 2期:雇入れの日から起算して6か月が経過する日の翌日から1年が経過する日まで
- 3期:雇入れの日から起算して18か月が経過する日の翌日から1年が経過する日まで
(1) 期間の定めのない労働契約を締結した場合
(2) 6か月以上の期間の定めのある労働契約(更新明示が必須)を締結した場合
受給のための手続き
奨励金を受けるためには、支給対象期間ごとに労働者を雇い入れた事業所の所在地を管轄する労働局長に申請をすることが必要です。支給申請期間とは、各支給対象期の末日の翌月から起算して1か月以内のことを指します。つまり、第1期申請は雇入れから6か月後、第2期申請は雇入れから1年6か月後、第3期申請は雇入れから2年6か月後から1か月間が申請期間でございます。
なお、申請に当たっては、下記書類の提出が必要になります。
- 支給申請書
- 対象労働者雇用状況等申立書
- 派遣元事業主との間で機関の定めのない労働契約を締結していたかどうかの確認書
- 労働者派遣契約書(写)
- 派遣先管理台帳(写)
- 雇用契約書又は雇入れ通知書(写)
- 各支給対象期の最終日の属する月の出勤簿
ただし、ご紹介した受給要件等はあくまでも主だったものになりますから、これら全てを満たしたとしても、100%受給出来るわけではございません。
例えば、派遣労働者を直接雇い入れる場合でも、労働者派遣法第40条で定める、雇用契約の申し込みの対象になる者(雇用契約の申し込みが義務付けられている派遣労働者)は奨励金の対象外になります。その他にも、有期の労働契約を締結したとしても、労働契約が更新されなかった場合には、それが例え本人都合であっても奨励金は支給されません。
申請書類等も、ご案内した書類の他に求められる場合があるなど要件は多岐に渡りますが、今後派遣労働者の直接雇用を検討されている事業主様は、この奨励金の活用を視野に入れてみるのはいかがでしょうか。