労働基準監督署官には、労働基準法等の法律に基づいて会社や寄宿舎等に立ち入り、書類等を見たり、使用者や従業員に質問をして、労働基準法等の法律が守られているかを調査し、会社や個人事業を監督指導する権限があります。
労働基準監督署の調査のことを「臨検」といい、臨検には次のものがあります。
事前に文書や電話等で、調査の日時を指定して労働基準監督官が来社するケース。事前に文書や電話等で調査の日時を指定して労働基準監督署への呼び出しがあるケース。そして予告なしに突然監督官が来社するケースがあります。予告なしに監督官がやってきても、原則調査を拒否することはできません。
ただし、社長や担当者が不在だったり、業務の都合上、その場で調査への対応ができない場合には、日程変更の相談はできます。この場合でも日程の変更が可能ということであって調査そのものがなくなるわけではありません。
調査の目的にもよりますが、一般的に調査で求められる帳簿書類は次の通りです。
調査の目的にもよりますが、主にタイムカードから長時間労働は有無、賃金台帳から賃金や残業代が適正に支払われているかどうか、安全衛生体制や活動状況、定期健康診断の実施状況などから労働者の安全衛生や健康管理の問題の有無をチェックします。
法令違反については是正勧告が行われ、違反事項と是正期日が記載された「是正勧告書」が交付されます。是正勧告を受けた場合、期日までに違反事項について改善をし、改善内容を記載した「是正報告書」を労働基準監督署に提出する義務があります。
なお、是正期日までに改善が難しいようであれば、監督官が相談に応じてくれますので、こまめに進捗状況を報告する等、誠実な態度で対応することをおすすめします。
是正勧告を受けても改善されない場合は、再監督になります。
労働基準監督官には、行政監督権限の他にも司法警察権もあるため、再三の勧告にも従わず無視したり、虚偽の報告を行う等、特に悪質な場合には、書類送検されることもあります。