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機関紙 KAWA-RA版 労務管理や社会保険に関する話題の情報を、タイムリーにお届けする当事務所オリジナルの機関紙です。

第65号 平成25年9月1日

寺崎弁護士の法律の窓

川口社労士法人 協力弁護士 寺崎時史氏

会社の名ばかり管理職をしているMさんが、暇を見つけては会社のパソコンを使って私的な興味に従ってネットサーフィンをしていました。このような行為は、労働法上、どのようなことが問題となるでしょうか。

Mさんは、「名ばかり管理職」ですから、実態は労働者と見られます。労働者は、労働契約に基づきその職務を誠実に履行する義務(職務専念義務)を負います。従って、就業時間内に業務とは無関係の私事に費やすことはできません。また会社のPCを使用することは、会社の設備を利用することですから、会社の施設管理権との問題もあります。
一方、大半の企業では、就業時間内であっても、ある程度の私的行為が許容されているのが実情です。コーヒーブレイクをするために会社の自動販売機のところで一服するとか、社員間でのちょっとした私的な会話をすることがすべて禁止されたら、デスクワークもベルトコンベアーで作業する工場労働と同じになってしまいます。デスクワークは、全体を画一的に規律するとかえって能率が落ちることもあります。

そこでこの問題は、会社が就業規則などで就業時間内の会社のPCの私的利用を一切禁止しているのか、それとも格別な規則も設けず社員の自覚に任せていたのか、各企業内でどの程度までが許容されるのか、という企業秩序の問題と言えます。

会社が企業秩序の上で許容できないとしたとき、労働者に対する懲戒の問題に発展します。しかし、いくつかの裁判例では、会社のなした懲戒処分に対し、社会通念上相当な範囲であれば、解雇や減給処分などの懲戒処分について無効とする判断をしています。

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