新型コロナウィルス感染症の関係で一時は遠のいていた健康診断ですが、事業者は労働者に対し、医師による健康診断を行うことが義務付けられています。
そこで、定期健康診断について改めてご案内させていただきます。
事業者は、常時使用する労働者に対し、1年以内ごとに1回、定期に、法令に定める11項目について医師による健康診断を行わなければなりません。
腹囲、胸部エックス線検査等一部の検査項目については、それぞれの基準に基づき、医師が必要でないと認めるときは省略することができます。年齢等により機械的に省略するものではありません。
また、労働者は、原則、事業者が行う健康診断を受けなければなりません。
常時使用する労働者です。なお、パート・アルバイトについては、1週間の労働時間数が、同種の業務に従事する通常の労働者の1週間の所定労働時間数の4分の3以上であるとき等となっています。
健診費用の負担については、法で事業者に健診実施の義務を課している以上、当然、事業者が負担すべきとしています。また、受診に要した時間の労働者の賃金は、労使協議で定めるべきものとしていますが、事業者が支払うことが望ましいとされています。
(1)健康診断の結果の記録
定期健康診断の結果は、健康診断個人票を作成し、5年間、保存しなければなりません。
(2)健康診断の結果についての医師等からの意見聴取
健康診断の結果に基づき、健康診断の項目に異常の所見のある労働者について、労働者の健康を保持するために必要な措置について、医師(歯科医師による健康診断については歯科医師)の意見を聞かなければなりません。
この医師または歯科医師の意見聴取は、定期健康診断が行われた日から3カ月以内に行わなければなりません。聴取した医師または歯科医師の意見を健康診断個人票に記載します。
(3)健康診断実施後の措置
(2)による医師または歯科医師の意見を勘案し必要があると認めるときは、作業の転換、労働時間の短縮等の適切な措置を講じなければなりません。
(4)健康診断の結果の労働者への通知
健康診断結果は、労働者に遅滞なく通知しなければなりません。
(5)健康診断の結果に基づく保健指導
健康診断の結果、特に健康の保持に努める必要がある労働者に対し、医師や保健師による保健指導を行うよう努めなければなりません。
(6)健康診断の結果の所轄労働基準監督署長への報告
常時50人以上の労働者を使用する事業者は、定期健康診断の結果について、遅滞なく、所轄労働基準監督署長に提出しなければなりません。
以上、定期健康診断についてはルールが細かく定められています。ご不明な点等ございましたらお気軽にお問い合わせください。