被保険者が受け取る給与(基本給のほか、残業手当や通勤手当などを含めた税引き前の給与)を標準報酬月額等級に当てはめて決定した標準報酬月額を、保険料や年金額の計算に用います。
標準報酬月額の対象となる報酬は、次のいずれかを満たすものです。
報酬に含まれるものは、基本給のほか、能率給、奨励給、役付手当、職階手当、特別勤務手当、勤務地手当、物価手当、日直手当、宿直手当、家族手当、休職手当、通勤手当、住宅手当、別居手当、早出残業手当、継続支給する見舞金等、事業所から現金または現物で支給されるものを指します。年4回以上支給される賞与についても標準報酬月額の対象となる報酬に含まれます。
なお、労働の対象として受けるものでないものは、報酬に該当しません。例えば、健康保険の傷病手当金や、労働基準法の休業補償などは報酬に含まれません。また、出張旅費などを従業員が立て替え、事業主が実費弁償した場合も、報酬には含まれません。
事業所が従業員を雇い入れた場合、事業主は、就業規則や労働契約等の内容に基づき、被保険者の報酬月額を届け出ることとなります。標準報酬月額の決定方法は以下の通りです。
(1)月、週その他一定期間によって報酬が定められる場合
被保険者の資格を取得した日現在の報酬額を、その期間の総日数で除して得た額の30倍に相当する額、たとえば、月給のときはそのままの額、週給のときはその額を7で割って30倍した額
(2)日、時間、出来高又は請負によって報酬が定められる場合
被保険者の資格を取得した月の前1か月間に当該事業所で、同様の業務に従事し、かつ同様の報酬を受ける者が受けた報酬の額を平均した額
(3)上記(1)又は(2)の方法では報酬の算定が困難である場合
被保険者の資格を取得した月の前1か月間に、その地方で、同様の業務に従事し、かつ同様の報酬を受ける者が受けた報酬の額
(4)上記(1)から(3)の複数に該当する報酬を受ける場合
各々の報酬について上記(1)から(3)によって算定した額の合算額
上記によって決定された標準報酬月額は、被保険者の資格を取得した月からその年の8月までの各月に適用されます。
なお、被保険者が6月1日から12月31日までの間に資格取得した場合は、資格取得した月から翌年の8月までの各月に適用されます。
これは、毎年9月に、4月から6月の報酬月額を基に、標準報酬月額の改定が行われるためです(定時決定)。また、定時決定の算定月以後に報酬月額に大幅な変動(標準報酬月額の2等級以上)があった場合には、標準報酬月額の改定が行われます(随時改定)。