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機関紙 KAWA-RA版 労務管理や社会保険に関する話題の情報を、
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第133号 令和7年1月1日

伴弁護士の法律の窓

【テーマ】

労働条件明示義務の改正

【質問】

有期雇用契約の従業員との間で契約期間の更新をする予定ですが、労働条件の明示について注意すべきことはありますか。

【回答】

2024年4月に、以下のとおり労働条件明示義務について改正がありました。

【説明】

    1 改正前の労働条件明示義務の内容

    会社が従業員との間で雇用契約を締結する際、その従業員に対して、次の①~⑭の項目に関する労働条件を明示する必要があります(ただし、⑦~⑭については、社内規定が存在する場合に限ります。)。
    ①雇用期間、②雇用期間を定める場合は契約を更新する基準、③働く場所・業務の内容、④始業・終業の時期、残業の有無、休暇、休日、休暇等、⑤賃金の計算、支払方法等並びに昇給、⑥退職、⑦退職金、⑧臨時に支払われる賃金、賞与等、⑨従業員に負担させるべき食費等、⑩安全及び衛生、⑪職業訓練、⑫災害補償、業務外の傷病扶助、⑬表彰及び制裁、⑭休職。
    有期雇用契約の従業員に対しては、これらに加えて昇給・退職手当・賞与の有無、雇用管理の改善等に関する相談窓口についても明示する必要があります。

    2 2024年の改正内容

    2024年4月1日以降に従業員との間で雇用契約を締結する場合、上記に加え、次の(ⅰ)~(ⅲ)の項目も明示する必要が生じました。新たな従業員を雇う場合だけでなく、既に雇用期間を定めて雇っている従業員との契約を更新する場合も適用されます。

    (ⅰ) 就業場所・業務の変更の範囲(全従業員が対象です)
    これまでは雇った直後に従業員が行う業務とその業務を行う場所を示すだけで済みましたが、今回の改正により、将来変更する可能性がある業務の範囲や、就業場所の範囲(転勤先)についても示す必要が生じました。
    (ⅱ) 契約更新の上限の有無及び内容
    有期雇用契約の場合、契約更新に限度があるか否か、もし限度が有る場合にはその内容を示す必要が生じました。例えば、「契約期間は通算5年を上限とする。」、「契約の更新は3回まで」といった社内規定がある場合には、これを明記する必要があります。
    (ⅲ) 無期転換申込機会及び無期転換後の労働条件
    有期雇用契約の期間が通算で5年を超えて更新された場合、その従業員に、契約期間の定めのない契約とするように会社に申し入れる権利が発生します(これを無期転換申込権といいます。)。もっとも、無期転換申込権に対する認知が十分に広がっていなかったため、これを労働者に広めて無期転換を促進する趣旨から、今回の法改正により会社が従業員に対して無期転換申込権が発生したことを明示する義務を負うこととなりました。そのため今後は、従業員ごとに無期転換申込権が発生する時期を管理し、当該従業員に対して無期転換申込機会を明示する必要があります。
    加えて、無期転換後に労働条件が変更となる場合には、具体的な変更内容も明示する必要があります(なお、就業規則等に別段の定めがない限り、無期転換前と同一の労働条件が適用されます。)。

    3 もし労働条件明示義務に違反すると、会社に30万円以下の罰金が科せられるおそれがあります。また、雇用契約に関する従業員とのトラブルを予防する観点からも、改めて労働条件通知書の記載事項をご確認いただくことをお勧めします。

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