高齢者人口の増加とともに、介護保険制度上の要支援、要介護認定者数は増加傾向にあります。しかしながら現在、介護を理由として仕事を辞めるという選択をされる方が年間10万人を超えるとも言われています。その要因のひとつとして、仕事と介護の両立支援制度が認識されておらず、介護休業や介護休暇の利用が低水準にとどまってしまっていることが挙げられます。
仕事と介護の両立支援制度とは、育児介護休業法で定められた制度のことをいいます。
主な制度として、
※1 介護保険制度の要介護状態区分が要介護2以上である場合や介護保険制度の要介護認定を受けていない場合であっても2週間以上の期間にわたり介護が必要な状態の場合は対象となる。
※2 配偶者(事実婚含む)、父母、子、配偶者の父母、祖父母、兄弟姉妹および孫
※3 取得予定日から起算して93日が経過する日から6カ月を経過する日までに契約期間が満了し、更新されないことが明らかでない場合。
なお、事業主は労使協定の締結により除外可能とされた従業員からの介護休業等の申出については拒むことが可能となります。
(例)
・入社1年未満の従業員
・申出の日から93日以内に雇用関係が終了することが明らかな従業員
・1週間の所定労働日数が2日以下の従業員)
介護休業中の経済的支援としては、雇用保険からの給付である介護休業給付金がございます。こちらは雇用保険の被保険者が、要介護状態にある家族を介護するために介護休業を取得した場合、一定要件を満たせば、介護休業給付金を受けることができます。
最後になりますが、労働者にとって、継続的に介護を行うためには、経済的な負担が多いため、仕事をつづけながら介護を行える環境が必要不可欠となります。
事業主にとっても、経験を積んだ従業員や管理職など企業の中核をとなる人材が仕事と介護の両立に苦しみ、会社を辞める選択をすることは、大きな損失となります。
離職する従業員や心身ともにストレスを抱える従業員を増やさないためにも雇用環境の整備や制度の周知等を進めることが必要不可欠となります。