事務所における労働衛生について、守らなければならない基準(ルール)があることはご存知でしょうか。実は事務所衛生基準規則という法令があり、これが令和3年12月1日に改正され、運用が見直されました。そこで今回はこの労働衛生基準について、ポイントとなる点につきご案内させていただきます。
事務所において、労働者が作業する机等における照度は、作業区分に応じて次のように定められています。
※資料の袋詰め等、事務作業のうち、文字を読み込んだり資料を細かく識別したりする必要のないものが該当します。
オフィス全体は明るくても、机上やパーテーションなどで区切られている執務スペースなど、実際に作業を行う面(手元)が暗い場合は基準を満たしていない可能性もあります。また、採光や照明の種類や角度により、まぶしさを感じることがあるので、事業者は、照度にかかわらず、労働者がまぶしさを感じないようにすることが必要です。
事務所の実状やニーズに応じて、休憩スペースを設けるよう努めることとされています。休憩スペースの広さや設備内容については、産業医の意見を聞いたり、衛生委員会等で検討することが考えられます。
常時50人以上又は常時女性30人以上の労働者を使用する事業者は、休養室又は休養所を男性用と女性用に区別して設ける必要があります。なお、随時利用できる機能が確保されていれば専用の設備である必要はありません。また、次のような点に注意が必要です。
事務所において、事業者が空気調和設備を設置している場合、労働者が常時就業する室の気温の努力目標値は、18度以上28度以下とされています。
事業者は、負傷者の手当に必要な救急用具及び材料を備え、その備付け場所及び使用方法を労働者に周知させなければならないとされています。また、事業者は、救急用具及び材料を常時清潔に保たなければならないとされています。
救急用具の品目については、法令で決まりはございません。マスク、ビニール手袋、手指消毒薬などが考えられますが、事務所の実情に応じて備える必要があることから、事務所で発生し得るケガ等を職場で話し合ったり、産業医等に意見を聞いて選定することが考えられます。