
【テーマ】
ノー残業デーにおける残業代の未支給
【質問】
当社では毎週水曜日をノー残業デーとすることを検討しています。
ノー残業デーを徹底させるため、毎週水曜日の残業代を支払わないと決めても問題ないのでしょうか。
【回答】
毎週水曜日をノー残業デーとすることを従業員に周知し、残業が必要となった時には管理職に引き継ぐ体制を設けておけば問題ありません。
【解説】
1 労働時間とは、最高裁判所の判例によると使用者の指揮命令下に置かれている時間をいいます。
毎週水曜日にノー残業デーを設けることは、毎週水曜日の残業を禁止する業務命令を発すると考えられます。従業員が、この残業を禁止する業務命令に反して労働を行った場合、使用者の指揮命令下に置かれている時間には該当しないと考えられるため、労働時間に該当しないとの理由から、残業代を支払わないと決めても問題はないでしょう。
裁判例(東京高判平成17年3月30日(労働判例905号72頁))でも、「賃金(割増賃金を含む。…)は労働の対償であるから…,賃金が労働した時間によって算定される場合に,その算定の対象となる労働時間とは,労働者が使用者の指揮命令下にある時間又は使用者の明示又は黙示の指示により業務に従事する時間であると解すべきものである。したがって,使用者の明示の残業禁止の業務命令に反して,労働者が時間外又は深夜にわたり業務を行ったとしても,これを賃金算定の対象となる労働時間と解することはできない。」としています。
従業員には、毎週水曜日をノー残業デーとする連絡(業務命令)を適切に周知しておきましょう。
2 ただし、残業が必要になった時の対応は必要です。
納期や使用者の設定した期限から、どうしても残業が必要となる場合があります。そこで、従業員が仕方なく残業を禁止する業務命令に反して労働を行った場合には、残業を禁止する業務命令自体が不合理と判断される可能性があります。
対応としては、時間外労働が必要になった時には、管理職に引き継ぐ体制を設けておくことが考えられます。また、ご質問のケースでは毎週水曜日をノー残業デーとしていますので、他の曜日に対応できるような体制を設けることも考えられます。
上記裁判例でも、使用者が管理職に引き継ぐ体制を設けていたことをあげ、従業員からの残業代請求を認めませんでした。
3 近年ノー残業デーを設ける企業が増えていますが、実際には名ばかりの制度となっており、退社後に自宅で労働を行う従業員も存在しています。
ノー残業デーを設けるだけではなく、設けるからには従業員により負担を掛けないような体制を設けることが必要です。