近年、職場のメンタルヘルス対策は会社の経営課題として注目をされ続けています。メンタルヘルス問題として、過重労働やパワハラ、いじめなど様々な要因があり、対策を立てている企業はたくさんありますが、職場の活性化、個人の活性化の観点から仕事と個人の関係性をもっと積極的にとらえようという「ワーク・エンゲイジメント」という概念が注目されています。単に職場で病気ゼロを目指すだけではなく、ワーク・エンゲイジメントを高めていくことが重要です。
ワーク・エンゲイジメントとは、熱意・プライド、没頭、活力の3つがそろった状態で、仕事にやりがいを感じ、熱心に取り組み、仕事から活力を得て職場でもプライベートでも活き活きしていることをさす概念です。
ワーク・エンゲイジメントは、燃え尽き症候群の対概念として提唱されました。燃え尽き症候群=バーンアウトは、仕事に前向きに一生懸命取り組んできたが、頑張りすぎて疲労困憊し、仕事への熱意や自信が低下してしまう状態ですが、それに対しワーク・エンゲイジメントは、活力にあふれて積極的に仕事に取り組む状態です。ワーク・エンゲイジメントはメンタルヘルスの良好な状態だけではなく、活力や仕事への積極性もあることから、個人の生産性の向上につながります。
先行研究では、「飲食チェーン店において、従業員のワーク・エンゲイジメントが高い店舗ほど売上げが良い」「ホテルやレストランにおいて、従業員のワーク・エンゲイジメントが高い施設ほど利用者の満足度が高く、再利用の意思が高い」といった知見が得られています。確かに、従業員が活力にあふれ、はつらつと接客してもらえば、そのサービスを受けた側は気分も良くなりますし、また来たいと思うでしょう。しかし、覇気がなく、嫌々対応しているようなイメージを受ければ、二度と来るまいと思うのではないでしょうか。
ワーク・エンゲイジメントを高め、従業員が活き活きと仕事に取り組むことは、そのまま生産性につながり、会社の向上につながります。
このワーク・エンゲイジメントの要因には、仕事の資源と個人の資源とがあります。
この、自己効力感は「自信がある」ということです。自信がある方は、ポジティブに新しいことにチャレンジしたり、新しい人間関係を築いたり、仕事のモチベーションがあがります。つまり、まずはどんな小さなことでも「自信を持つ」ところから始めると良いのではないでしょうか。例えば「今日できなかったから明日やろう」と思っていた仕事を翌日完了することができたとか、そんな小さなことからでもいいと思います。小さな成功を積み重ねることで自信につながります。それから少しずつその目標が大きくなり、仕事のパフォーマンスを上げていき、結果的に自分自身が向上していくのではいでしょうか。
そして仕事の資源として、個人の資源を向上させる場、成長させる機会を与えることが大切なのではないでしょうか。