私は、拒絶して抵抗はしましたが、それでもその行為は数回にわたりました。そのことがショックで、私は、「適応障害」となり、現在、会社に出勤できていません。会社には電話で上司のセクハラの事実を報告して、上司を退職させてくれないと、今の状態では出勤できませんと答えました。
しかし、会社は、上司を配置転換するだけで、解雇はしていません。私が会社に求められるのはどこまででしょうか。(本件では、上司に対する損害賠償請求が認められるのはもちろんのことです。)
セクハラを受けた従業員は、セクハラをした上司の解雇を会社に求めることができるでしょうか。会社がその上司を解雇するには、上司の行為が「懲戒解雇」や「諭旨解雇」事由に該当することが必要です。すなわち、上司が企業秩序違反行為をしたことです。
職場の飲み会といっても、セクハラ行為が起こったのは帰宅途中の話ですから、「私生活上の行状」が対象となっています。本件が制わいせつ罪などで刑事立件されていない段階では、会社は、上司の行為が会社の信用を損ね、職場秩序維持が困難になるなどの懲戒解雇・諭旨解雇を裏付けるだけの秩序違反行為があったとは言い難いものがあります。
従って、会社は、上司の「私生活上の行状」をもって、懲戒解雇・諭旨解雇をするまでは難しいといえるでしょう。(ちなみに、被害者が上司を告訴した場合、上司は徹底否認する可能性があります。本件は、対上司との民事的解決、対会社とのセクハラガイドラインに従った解決が望ましいと思われます。)(続く)
裁判員制度もだいぶ国民に受け入れられてきたところ、突然ですが今回は刑事裁判についてお話したいと思います。刑事裁判では、又聞きの証言は証拠として認められていません。これは、「本当に見たのか」、「勘違いではないのか」など、見た人に対し直接、具体的に疑問をぶつけて確認し、正確を期することができないからです。ビジネスの現場でも現場主義ということがよく言われます。本で読んだことを鵜呑みにして判断するのは危険だからです。しかし、全てのことを自分で経験することはできません。そこで、経験した人から直接話を聞いて、自分の経験として取り入れていくことが重要だと思います。ただし、ここでも話を聞くときに疑問をぶつけることを怠ると、間違った経験として自分のものになってしまうので注意が必要ですね。
わが国ではお月見が3回あるのをご存知ですか。今年の中秋の名月は9月22日に終わってしまいましたが、2度目のお月見は「後の月」と呼ばれていて旧暦の9月13日、3度目は「三の月」で旧暦の10月10日だそうです。それぞれの日付から、「十三夜の月」「十日夜の月」などとも呼ぶとのこと。
中秋の名月は中国から伝わった祭事ですが、後の月と三の月は日本独特の風習のようです。かつて江戸では十五夜と十三夜は同じ庭で見るものとされ、別の場所で見ることを「片月見」といって嫌ったそうです。この習慣は江戸の遊里吉原での営業戦略から生まれたとの説が有力で、十五夜に遊びに来たお客に、縁起の悪い片月見を避けるために翌月も来てもらおう、というわけ。吉原ではどちらの月見も特別なイベントと位置づけ、江戸っ子気質で見栄っ張りなお客たちも、いつも以上に気前良く散財したとか。
なぜ三の月までお客を誘わなかったのかは不明ですが、江戸の庶民の多くは恋愛結婚で、3ヶ月連続でお月見デートを重ねてから結婚というパターンが多々あったとのことですから、ちょっとだけお客に遠慮したのかも知れませんね。大きな出費を3度させて、お客の足を遠ざけてしまうよりも、2度程度にとどめておいて、お得様との長いお付き合いを選んだのかも知れません。
さて、今年の後の月は10月20日、江戸庶民のカップルたちがゴールイン間近になる三の月は11月15日です。天気が良かったら、夜空を見上げてみるのも素敵ですね。