【最低賃金とは】
使用者が労働者に支払う賃金額の最低限値を定めた制度です。使用者と労働者との間の労働契約で最低賃金額に達しない賃金を定めた場合は、その部分について無効となり、最低賃金と同様の定めをしたものとみなされます。使用者が労働者に最低賃金未満の賃金しか支払っていない場合には、使用者は労働者に対してその差額を支払わなくてはなりません。
【最低賃金の種類は2種類】
- 地域別最低賃金…産業や職種にかかわりなく、各都道府県内の事業場で働くすべての労働者とその使用者に対して適用される最低賃金です。各都道府県に1つずつ、全部で47件の最低賃金が定められています。
- 特定(産業別)最低賃金…特定の産業について設定されている最低賃金です。関係労使が基幹的労働者を対象として、「地域別最低賃金」よりも金額水準の高い最低賃金を定めることが必要と認める産業について設定されており、全国で250件の最低賃金が定められています(平成22年10月1日現在)。※なお、地域別最低賃金および特定(産業別)最低賃金の両方が同時に適用される場合は、使用者は高い方の最低賃金額以上の賃金を支払う必要があります。
【適用となる対象者】
- 地域別最低賃金…常用、臨時、パート、アルバイト、嘱託などの雇用形態や呼称を問わず、セーフティネットとして、各都道府県内の事業場で働く全ての労働者に適用されます。
- 特定(産業別)最低賃金…特定の産業の基幹的労働者とその使用者に対して適用されます。ただし、18歳未満又は65歳以上の者、雇入れ後一定期間未満の技能習得中の者、その他当該産業に特有の軽易な業務に従事する者は適用除外となり、地域別最低賃金が適用となります。
【最低賃金減額の特例】
一般労働者より著しく労働能力が低いなどの場合に、最低賃金を一律に適用するとかえって雇用機会を狭めるおそれなどがあるため、次の労働者については、使用者が都道府県労働局長の許可を受けることを条件に個別に最低賃金の減額の特例が認められています。
- 精神又は身体の障害により著しく労働能力の低い者
- 試の使用期間中の者
- 基礎的な技能等を内容とする認定職業訓練を受けている方のうち厚生労働省令で定める者
- 軽易な業務に従事する者
- 断続的労働に従事する者
【派遣労働者の最低賃金】
派遣労働者には、派遣先の最低賃金が適用されますので、派遣先の事業場に適用される最低賃金を把握しておく必要があります。
【対象となる賃金】
毎月支払われる基本的な賃金が対象となります。以下の賃金は対象となりません。
- 臨時に支払われる賃金(結婚手当など)
- 箇月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与など)
- 所定労働時間を超える時間の労働に対して支払われる賃金(時間外割増賃金など)
- 所定労働日以外の労働に対して支払われる賃金(休日割増賃金など)
- 午後10時から午前5時までの間の労働に対して支払われる賃金のうち、通常の労働時間の賃金の計算額を超える部分(深夜割増賃金など)
- 精皆勤手当、通勤手当及び家族手当
【最低賃金のチェック方法】
最低賃金は時間額で定められています。日給や週給、月給制などの場合は、対象賃金額を時間額に換算し、適用される最低賃金額と比較します。
- 時間給の場合…時間給≧最低賃金額(時間給)
- 日給の場合…日給÷1日の所定労働時間≧最低賃金額(時間給)
- 月給の場合…月給÷1ヶ月平均所定労働時間≧最低賃金額(時間給)
- 出来高払制その他の請負制によって定められた賃金の場合…出来高払制その他の請負制によって計算された賃金の総額を、当該賃金算定期間において出来高払制その他の請負制によって労働した総労働時間数で除した金額≧最低賃金(時間額)
都道府県名 |
新しい最低賃金額 |
(改定前の最低賃金額) |
発効年月日 |
東京 |
821円 |
(791円) |
平成22年10月24日 |
神奈川 |
818円 |
(789円) |
平成22年10月21日 |
栃木 |
697円 |
(685円) |
平成22年10月7日 |
山梨 |
689円 |
(677円) |
平成22年10月17日 |
長野 |
693円 |
(681円) |
平成22年10月29日 |