新入社員を迎えることによって、会社は新しい大きな戦力を得ることが期待します。
でも、ちょっと困った新入社員がいた場合…その対応方法などをQ&Aでご説明します。
Q.1 | 採用内定者から現職の引継の都合で入社日を伸ばして欲しいとの依頼がありました。こちらも人手不足ですぐにでも入社して欲しいのですが…。内定を出した以上、取り消すことはできないのですか? |
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A.1 | 内定の際の条件として、入社日に確実に入社ができることとされていたのであれば、取消が可能でしょう。例として、病気などの理由で入社日に出社できない、新卒採用の際、留年等で卒業できず4月入社できない場合などがあげられます。 内定時に入社日については応相談などと、曖昧なやり取りをされていたのであれば、一度調整の機会を持ったほうがよいでしょう。 |
Q.2 | 新入社員が会社に提出する書類にはどういったものがありますか? また提出期限はだいたいどの位なのでしょうか? |
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A.2 | 法律上 採用決定者の提出書類の規定はありません。それぞれの会社の就業規則などで定められています。 一般的には、誓約書、身元保証書、住民票記載事項証明書、口座振込依頼書、年金手帳、健康診断書、雇用保険被保険者証(以前に雇用保険に加入していた場合)扶養控除等申告書、源泉徴収票などがあげられます。 また、これらの書類は入社後速やかに、遅くても10日以内位に提出を求めるのが望ましいです。 提出書類のうち、個人情報保護の観点から、戸籍謄(抄)本や住民票については、提出を求めないようにしなければなりません。住民票記載事項証明書によって、正確な氏名、生年月日、性別、住所の確認を得ることができます。 |
Q.3 | 入社時に提出させる身元保証書の身元保証人は誰でもなれるのでしょうか?専業主婦の妻、や無職の親・兄弟姉妹、友人でも認めてよいのですか? |
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A.3 | 身元保証人は、会社が特に身元保証人となる人の資格制限を設けていないのであれば、誰でも可能です。通常会社は、資力のある成年を身元保証人として求めることが多いため、「独立生計を営んでいる成年者で会社が認めた者」などと就業規則などで限定しています。 ただし、あまり限定すると身元保証人を探すのに難しくなる場合がありますので、会社は配慮する必要があります。 会社が社員によって被った損害を賠償させることが身元保証書の1つの目的です。しかし身元保証人は、実際に損害を与えた金額を全額負担しなくてはならないわけではなく、例えば雇用された人が十分に注意を払っても出てしまった損害だった場合はその事情が考慮されます。また、その人の監督をしていた上司の監督能力も問われます。 身元保証書を提出させることは、損害賠償だけでなく、本人に、身元保証人に迷惑をかけてはいけないと思わせる、心理的な抑止的効果を期待されています。 |
Q.4 | 採用決定者に提出してもらう書類が数種類あります。毎年全員に提出してもらっていますが、ある新入社員から提出拒否をされました。入社日に提出する様に就業規則にも記載されています。どうしたらいいのでしょうか? |
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A.4 | 採用決定者の提出書類は会社ごとに就業規則などで決められています。そして社員には求められた書類の提出義務があります。 就業規則などに提出書類と提出時期が記載されているにもかかわらず提出を拒否した場合、就業規則違反となり、懲戒処分対象とすることが可能と考えられます。会社から求められた書類を提出しないのは、業務命令違反となるからです。 また、就業規則に記載がない場合でも、過去毎年全員に提出してもらっているなど客観的にみて妥当であれば同様です。 会社が求める提出書類には、業務上必要な書類もあります。例えばドライバーの職種の方の運転免許証や、有資格者でないと就けない職種の場合の資格免許証などです。 このような免許証等書類を確認せず、無資格者を業務に就かせてしまった場合、当然使用者側にも責任があります。 採用決定者の提出書類を提出しない場合については、これらの書類が業務遂行や諸手続きに必要不可欠であり、その内容が適切なものであれば、不提出を理由とした採用を取り消しも認められると考えられます。 ただし、直ちに採用を取り消すのではなく、会社は採用者に対して、当該書類の必要性や情報の利用目的をよく説明して十分な話し合いを持ち、それでも不提出ということであれば採用の取り消しを検討しましょう。 |
Q.5 | 採用した社員が、入社前から働いていたコンビニエンス・ストアで、入社後も平日週3回、夜10時から午前2時までアルバイトをしていました。「でも、就業時間外にやっているのですから、問題はありませんよね。」と本人は言っています。会社としてはどう対応すべきでしょうか? |
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A.5 | 多くの会社では、就業規則などで「アルバイトなど副業は原則禁止、行う場合は会社の許可を受けなければならない。」と定めています。 労働者は、労働契約で誠実に労務提供をする義務を負っています。アルバイトなどが無制限に行われれば、日常の業務に支障が生じるおそれがあったり、過重労働で疲れがたまれば業務中に事故を起こす可能性も高まります。さらに競業会社での兼業は企業秘密の漏えいリスクがあります。 ただし、就業時間外の社員の行動に対して、会社が一方的に制約を加えられないのが原則です。 従って、会社の許可なくアルバイトを続けている場合は、上記の内容を説明してアルバイトを辞めるよう説得します。就業規則などで兼業が禁止されているのであれば、一般的には懲戒処分の対象になります。 しかしながら、疲労回復を妨げられる恐れがなく、会社の秩序や対外的信用を害するおそれがないのであれば、副業を全面的に禁止することは難しいでしょう。 なお、労働基準法は、働く場所が異なっても、1日の労働時間が通算して8時間を超えれば、その超えた会社での労働時間は時間外労働となり、割増賃金の支払いを求めています。1日とは原則として午前0時からの24時間をいいます。つまり、アルバイトをしている日は、午前0時から2時までの2時間は既に働いているので、本業の通常勤務6時間経過後は、割増賃金の支払いが必要となります。 |