各自治体では、大規模災害の場合に発生する帰宅困難者対策として、会社に勤めている方は、急いでかいることはせず会社に残ることを求める方向でその対策が検討されています。また、この方向に従って、企業に対し帰宅困難者対策として一定の食糧等の備蓄を求めています。
しかし、地震のときはいざ知らず、台風のように、事前に一定程度の災害の予知が可能な場合にも同様の措置によるべきか疑問があります。そこで、事前の予知が可能なものは、早期の帰宅を促すことも対応策の一つではないでしょうか。
例えば、首都圏に大きな混乱をもたらした9/21の台風15号の場合でも、トヨタ自動車、日産自動車、富士通など大手企業でも早帰りを実施しています。ただしこれらの企業でもその帰宅開始時が午後3時くらいとなったことから、既に東海道線、京浜東北線といった主要鉄道がすでに止まっていたため、交通機関の混乱からこれらの企業の従業員も帰宅困難に状況に陥っています。また、交通機関の混乱、混雑から帰宅途中での労災もあったようです。
そこで、これらの企業にかかわらず、早期退社させたのに、途中で帰れなくなってしまった従業員がいたとのことで、その原因の調査をしていいます。また、早期帰宅を決定する判断要素と、行動マニュアルの整備も必要かと思います。
そこで、先日9/21の台風での当事務所の実例をもとに、帰宅困難者問題への対策を考えてみたいと思います。
9/21の台風15号の時には、当事務所では、台風の影響を大きく受ける前に全員の帰宅を完了することができました。
当日、帰宅の指示を出すか判断において重要視した情報は、まず、気象庁から「最大級の警戒発令」がなされていたことです。そこで、気象庁のホームページでレーダ画像のチェック、日本道路交通情報センターのホームページで通行止めの発生状況のチェック、そして、JR東日本のホームページで運休情報をチェックしたりとホームページを中心に情報収集に努めました。
午前中から東名高速の静岡から西が通行止めとなり、東海道新幹線が全線運休。また、東海道線の小田原以西が運休となりました。
最終的に帰宅指示の決断をしたのは、それまで全く運休がなかったJR東日本の路線が、午後1:00、まず、京葉線が全線運休となり、その後運休の路線が順次増え出したことです。
そこで、1:30にまず全従業員に今行っている仕事を片付ける方向で進めることを指示し、そして、片付けられた者から順次帰宅するように指示しました。結局、最終退社者は3:30になってしまいました。
この対応で、一部の従業員に少し帰宅に通常より時間がかかってしまった者がおりましたが大半が通常の時間通りに帰宅ができました。そして、翌日には全員が元気に出社できたことは良かったです。ただし、この判断があと30分遅れていたら多くの従業員が途中で足止めを受けていたことでしょう。
今回、当事務所で利用した情報および事後に気が付いた情報を一覧にまとめましたのでご参考にしていただければと思います。なお、有効度につきましては、9/21の判断において有効であったか否かに基づいています。
まずは、9/21の実態調査をすることが有効です。この中で、個々の従業員の帰宅困難の状態把握し、今後の対策に役立てます。また、帰宅途中に長時間の足止めを受ける場合があるので、本人の携帯電話の番号および携帯のメールアドレスを収集することが必要でしょう。この場合、利用目的の特定と、取得にあたり、その目的を個人への通知必要があります。
また、帰宅命令を出してから、実際に帰宅が完了するまで、最低1時間30分かかるとおもわれます。各社、この時間を見込んで早期の判断が必要となります。
そして、帰宅命令に続く行動についてもマニュアルを整備する必要があります。たとえば、最終退出者をだれにするのか、顧客への連絡、会社が無人化した場合の電話対応(留守番電話の設定)等の作業が必要となりますので今のうちから準備が必要です。
また、当事務所では活用できていませんが、SNSが非常によい情報源となっている。この活用も検討される必要があるかと思います(当事務所でのノウハウがないので今回は紹介できません。すみません)。