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機関紙 KAWA-RA版 労務管理や社会保険に関する話題の情報を、タイムリーにお届けする当事務所オリジナルの機関紙です。

第59号 平成24年9月1日

算定基礎届出後の給与計算の注意点

算定基礎届とは、被保険者が実際に受ける報酬と、すでに決定されている標準報酬がかけはなれないように毎年1回、原則として7月1日現在の被保険者を対象に4月5月6月に受けた報酬の平均月額を標準報酬等級区分表にあてはめて標準報酬を決定する手続きです。届出自体は例年7月10日までに行い、8月上旬から9月上旬にかけて年金事務所から届出に基づく決定通知書が届きます。
ここで決定した標準報酬月額はその年の9月分保険料からの適用になります。
では、月額変更と重なった場合はどうなるのでしょう・・・?

4月から6月の間に固定的賃金に変動があった人について7月、8月、9月に月額変更に該当すると見込まれる人がいないかどうか確認を行い、報酬変動開始月以降の3ヶ月間の平均月額が2等級以上代わっている場合は月額変更に該当することになります。その場合には月額変更届を提出する必要があり、ここで決定した標準報酬月額は算定基礎届出にて決定した標準報酬月額より優先することになります。したがって7~9月分保険料の等級決定に関しては、変更原因が個々に異なる状況になりうるのです。

ここまでは届出によって保険料が変更するパターンでしたが、料率の変更によって保険料が変更する場合もあります。
例年、健康保険に関しては3月分、年金については9月分の保険料から保険料率が変更になります。健康保険組合や年金事務所からの郵便物やホームページを定期的にチェックし、改定情報を見逃さないように注意しましょう。

処理が正しければ、社員から預かった保険料の合計額と会社負担保険料の合計額は、納入保険料額と一致するはずです。会社が支払う保険料には拠出金が含まれていますので、納入通知書の児童手当拠出金の金額を差し引いても数万円単位でズレが生じている場合は年金事務所から増減内訳表を取り寄せ、差異の内容を確認することをお勧めいたします。
また、定期的に賃金台帳の確認を行ない、固定的賃金の変動の有無を把握できれば月額変更届の手続き漏れに気付くきっかけにもなります。
月変・算定・料率変更と立て続く時期には、毎月のように給与設定の変更を行う場合もあります。後に標準報酬月額の誤りが発覚した場合、将来社員が受取る年金額に影響を与えてしまったり、会社側に請求が来る場合もありますので、この時期の社会保険に関わる給与処理には特に注意が必要です。

年金定期便がもたらしたもの

35,45,58歳の時に届く年金定期便には、過去の標準報酬月額と保険料の履歴がすべて明示されています。したがいまして、自分がもらっていた過去の給与額、控除されていた保険料との相違を確認できることになります。仮に、年金定期便に明示されている額より、控除されていた保険料が多かった場合、会社は過去にさかのぼって保険料を徴収されます。この保険料には利息が付くことから、この様な期間が長く、また複数従業員に対し同様なことが行われていた場合、数百万円になることもあります。会社が倒産等してこれを支払うことが出来ない場合には当時の取締役に請求が来ます。もし、これを支払わないと、この取締役の氏名が公表されてしまいます。
従いまして、適正な標準報酬月額の届出と保険料の控除は企業にとって重大な問題となっています。

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