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機関紙 KAWA-RA版 労務管理や社会保険に関する話題の情報を、タイムリーにお届けする当事務所オリジナルの機関紙です。

第69号 平成26年5月1日

限定正社員

「限定正社員」という言葉は昨年の春頃からよく聞かれるようになりました。この制度は、「アベノミクス」の成長戦略の一つとして捉えられています。
この4月に、ユニクロを運営するファーストリテイリングが国内のユニクロ店舗で働くパートやアルバイト従業員約3万人のうち半数以上の1万6千人について、2~3年以内に地域限定の正社員に登用すると発表されたことでもまた注目を集めています。

限定正社員制度とは

では、限定正社員制度とはどのようなものなのでしょうか?
実は以前から「地域限定正社員」という働き方がありました。これは一定の地域内でのみ配属することや、異動に制限を設けることを条件に契約する正社員のことです。勤務地が通勤可能な範囲内に限られ、原則として転居を伴う転勤がありません。
また、職種が限定された職種別採用も限定正社員の一種であり、一部の企業では定着している雇用形態です。
「限定正社員」も従来型の地域限定正社員等と同じような制度であり、勤務地や仕事の内容を限定した「無期雇用契約の正社員」です。

限定正社員のメリット・デメリット

「限定正社員」のメリットとしては、労働者側にとっては、「子育てや介護などと両立しやすい」「派遣社員やパートよりも雇用が安定している」「仕事内容が変わらないため専門性を高めやすい」といったことが挙げられます。
現在、「有期契約」で派遣社員やパートとして働いている労働者にとっては、地域や仕事内容が限定された上での「無期雇用」は雇用の安定度が高まる意味で魅力があるでしょう。なおかつ、現状より待遇面が改善されることがあれば歓迎する人も多いと考えられます。
しかし、地域や仕事内容が限定されているだけに、事業所閉鎖や担当業務がなくなった場合は解雇の可能性が高くなることは否めません。
企業にとっては、勤務地や仕事内容を限定することで正社員よりも低いコストでの採用が可能となるだけではなく、限定された契約に見合った仕事がなくなれば契約解除を行いやすくなります。また、出産・介護・本人の健康状態の都合などで離職をしていった人材の流失を防ぐ受け皿としても、正社員から限定正社員への転換制度を設けることは有効と考えられます。

多様な働き方への対応

限定正社員制度の導入に関しては、企業側と労働者側の立場の違いや雇用形態などによってメリットとデメリットはさまざまです。しかし、今後ますます人材が流動化する世の中になっていくことは間違いありません。そのような中でも企業が優秀な人材の確保と定着を実現して組織の成長を図り、また働く人たちが安定的に仕事に就けるようにするためには、多様な働き方ができる制度・仕組みを整備していくことが求められるといえるでしょう。

従来の正社員限定正社員パート・派遣等の非正規社員
期間無期無期従有期が多い
転勤ありなしなし
職種変更ありなしなし
雇用の安定度解雇される可能性が低い契約に定められた仕事がなくなれば解雇されることがある仕事がなくなると雇止めされることがある

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