消費税増税から早いもので3ヶ月が過ぎました。アベノミクスや日銀の金融緩和の意向等を受けて、日本経済に対する期待が高まっている今、 景気の判断材料ともされる賞与にも注目が集まっているのではないでしょうか。「頑張ってくれている従業員に賞与を払ってあげたい!」というお話もよく聞きます。
では、実際に賞与を支給する際、どのように社会保険料や源泉所得税を控除すればよいのでしょうか。毎月の給与とは計算方法が違いますので、賞与の正しい計算方法について説明します。
賞与と聞くと「夏のボーナス」、「冬のボーナス」を連想される方が多いのではないでしょうか。 実際には、国税庁のHPで以下のように定義がされており、一般的な賞与のイメージより範囲が広いことになります。
賞与とは、定期の給与とは別に支払われる給与等で、賞与、ボーナス、夏季手当、年末手当、期末手当等の名目で支給されるものその他これらに類するものをいいます。なお、給与等が賞与の性質を有するかどうか明らかでない場合、次のようなものは賞与に該当するものとされます。
まずは社会保険料の計算方法についてみていきます。
社会保険料とは健康保険料(介護保険料含む)と厚生年金保険料からなります。
それぞれの保険料は、賞与額から1,000円未満の端数を切り捨てた額(標準賞与額)に保険料率を乗じた額となります。
※A~Cともに端数については50銭以下切捨、50銭超切上
A+B+C=39,627
よって、控除する社会保険料は39,627円となります。
なお、賞与を支払ったときは、支給日より5日以内に「賞与支払届」を年金事務所に届け出る必要があります。
雇用保険に加入している方は雇用保険の控除が必要です。計算は毎月の給与での控除方法と同様です。
D.275,200×5/1000 (※一般の事業)=1,376
雇用保険料は1,376円となります。
※事業の種類によって保険料率は変化します。
社会保険料と雇用保険料(広義の社会保険料)の合計
A+B+C+D=41,003
最後に所得税の計算をします。
なぜ最後かというと、社会保険料・雇用保険料の金額が算出できないと源泉所得税の計算ができないためです。必ず社会保険料・雇用保険料の計算の後に行います。
その場合の源泉徴収税額は以下の通りになります。
賞与から控除する源泉徴収税額は14,346円です。
よって、Xさんの賞与手取額は275,200-(A+B+C+D+14,346)=275,200-(41,003+14,346)=219,851円となります。
最後に、定期賞与や決算で利益がでた時に決算賞与を支給したりと理由はそれぞれですが、1年頑張った従業員に対する報奨であったり、これからの期待を込めての支給であったりと思います。是非とも正しい額を正しい計算方法で支給することをお勧めします。
もし、賞与の計算方法等でご不明点等ございましたら、お気軽にご相談ください。