昨年よりご案内をしております改正パートタイム労働法の施行が今年度の4月1日と近づいてきましたので、今回の改正により変更となる事項、事業主の義務として追加されたものを中心にご紹介いたします。
パートタイム労働法の対象となるパートタイム労働者とは「1週間の所定労働時間が同一の事業所に雇用される通常の労働者の1週間の所定労働時間に比べて短い労働者」のことです。「パートタイマー」「アルバイト」「嘱託」「臨時社員」「準社員」など、呼び方によらず、上記の条件に該当すれば、「パートタイム労働者」としてパートタイム労働法の対象となります。フルタイムで働く人は、「パート」等と呼ばれていてもパートタイム労働法の対象とはなりません。
・有期労働契約を締結しているパートタイム労働者でも、職務の内容や人材活用の仕組みが正社員と同じ場合は、正社員との差別的取扱いが禁止されます。
例)職務内容、人材活用の仕組みが同一にもかかわらず、正社員には支給されている各種手当の支給対象となっていない
→ 正社員と同様に支給対象となる可能性
・パートタイム労働者と正社員の待遇を相違させる場合は、職務内容や人材活用の仕組み等を考慮して、不合理と認められるものであってはならないとする待遇の原則の規定が創設されます。これをふまえた雇用管理の改善を図っていくことが必要となります。
・通勤手当は均衡確保の努力義務の対象となりました。
・雇い入れ時の事業主による説明義務の新設
パートタイム労働者を雇い入れたときは、実施する雇用管理の改善措置の内容を事業主が説明しなければなりません。
説明を求められたときの説明義務と併せて、労働者が理解できるような説明をしていく必要があります。
・説明を求めたことによる不利益取扱いの禁止
・労働者からの相談に対応するための体制整備の義務の新設
労働者からの相談に応じ、適切に対処するために必要な体制を整備しなければなりません。
例)相談担当者を決めて対応させる
事業主自身が相談担当者となり対応するなど
・相談窓口の周知
雇い入れ時の文書交付により明示しなければならない事項に「相談窓口」が追加されます。
・厚生労働大臣の勧告に従わない事業主の公表制度の新設
・虚偽の報告などをした事業主に対する過料の新設
事業主がパートタイム労働法の規定に基づく報告をしなかったり、虚偽の報告をした場合は、20万円以下の過料に処せられます。
今回の改正によるこれらの規定の新設により、今後労働局や労働基準監督署の調査の対象となることも十分考えられますので、体制や書類 の整備をお願いいたします。具体的な規定のしかた等でご不明点があれば、お気軽に当事務所までご連絡ください。