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機関紙 KAWA-RA版 労務管理や社会保険に関する話題の情報を、タイムリーにお届けする当事務所オリジナルの機関紙です。

第76号 平成27年7月1日

寺崎弁護士の法律の窓

川口社労士法人 協力弁護士 寺崎時史氏

従業員の傷病による長期欠勤と復職の可否について

中小企業で正社員が傷病によって長期間欠勤をすることは、会社にとってもダメージが大きいものです。ほとんどの会社の就業規則によって長期間の傷病による欠勤について規定していると思います。労働者も最初は残っている有給休暇を充てて生計を確保しますが、それを過ぎると、加入している健康保険の傷病手当(標準報酬日額の3分の2に相当する金額)を受給することになります。会社によっては、傷病による欠勤の場合でも一定の基本給を支給する会社もありますので、傷病手当との調整がされます。傷病手当の受給期間は、同一の傷病について、支給を開始した日から最長1年6か月です。就業規則で、傷病による休職期間を最長1年6月にしている会社も多く見受けられます。休職中の一定の収入が保証されている期間は在籍することを認めようとするものでしょう。1年6か月も完治しないか、少なくとも復職できるだけの回復が見られないような重篤な傷病の場合、さらに治療を継続しても復職できない見込みが高いと言わなければなりません。

しかし、精神病については、この見込みのとおりにはいかないのです。例えば、うつ病で1年近く休職していても、休職期間満了のころに労働者が主治医の診断書(「復職可能との診断」)が提出されて、復職を求めてくることがあります。その場合、会社はどのように対処したらいいでしょうか。この復職可能かどうかの認定についても、就業規則に規定している会社もありますが、そこまで規定していない会社も多くあります。

そこで、会社として為すべきことは、労働者が復職する部署の労働環境をある程度理解している産業医に労働者を診断してもらうことです。けがや肉体的な病気であれば、労働者が復職して稼働した場合、身体に対する影響を想定することは、産業医もそれほど困難なく診断できるでしょう。しかし、精神の病には産業医でも診断困難なときがあります。次回は、このようなケースで生じるトラブルについてお話しします。

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