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機関紙 KAWA-RA版 労務管理や社会保険に関する話題の情報を、タイムリーにお届けする当事務所オリジナルの機関紙です。

第78号 平成27年11月1日

寺崎弁護士の法律の窓

これまで会社と協調路線を採っている企業内組合(A)があり、90%以上の社員が加入していました。今度、少数の社員がA組合と運動方針を異にする組合(B)を結成したとの通知とともに会社内にB組合のための組合事務所や掲示板のスペースを供与することを使用者に求めてきました。使用者は、A組合にはすでに事務所や掲示板を供与していますが、B組合にも供与しなければならないでしょうか。

複数の労働組合が併存する場合において、使用者は、それぞれの組合員数の多寡や運動路線の如何によって差別することなく、その団結を承認し、いずれの組合に対しても中立的態度を保持する義務(中立保持義務)を負うとされています。中立保持義務は、労働組合の機能の保障した憲法28条や不当労働行為を定めた労働組合法の趣旨から認められます。

組合に対する組合事務所の供与は、無償で行われることが多く、便宜供与(恩恵)的性格が強いとされていますが、併存する労働組合がある場合、使用者に中立保持義務があり、B組合だけに供与しないということはできません。

もっとも、組合員数が違うことに応じて、A組合とB組合の組合事務所が同じ広さであることまでは求められていないと言うべきです。B組合事務所が組合事務所としての機能を果たす最小限の広さがあれば、使用者による便宜供与という性格上、その具体的指定や変更は使用者の裁量に委ねられると考えられます。
ただ、その裁量を行使する上で、B組合から少数組合嫌悪の意図が窺えるとして、組合に対する便宜供与差別(労組法7条3号違反)の不当労働行為であるとの非難がなされる可能性がありますので、B組合に対して十分な説明をしておく必要があります。

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