『労働時間の解釈』についての最新の記事があります。
関連記事をヨム厚生労働省が11月に行った初の実態調査において、学生の半数近くが何らかのトラブルを経験したことがあるという結果が出て、低賃金で過酷な労働を強いられる「ブラックバイト」が問題になっています。バイトに時間と体力を奪われ、学校の講義を欠席したり、単位を落としたりと学業に影響が出ることもあるそうです。問題となっている点はいくつかありますが、どれも私が学生だった約15年前から存在していた問題で変わっていないように思います。なぜ今になって問題となるかというと、学生がバイトをする目的が過去10年でレジャー費から生活費へと変化したこと、最低賃金が引き上げられたことが大きな要因であると思います。ブラックバイトの問題が学生に限らないアルバイト、非正規雇用者、正社員と波及するおそれもありますので、今回はトラブルで代表的な「労働時間」について再確認していきます。
【大原則】
労働基準法第32条(労働時間)
①使用者は、労働者に、休憩時間を除き1週間について40時間を超えて、労働させてはならない。
②使用者は、1週間の各日については、労働者に、休憩時間を除き1日について8時間を超えて、労働させてはならない。
1週40時間については、どの7日間をとっても40時間ということではなく、就業規則に定めるところによるか、定めがない場合は、日曜から土曜までの暦週のことです。また、「1日」とは午前0時から午後12時までのいわゆる暦日を意味します。労働とは、一般的に、使用者の指揮監督のもとにあることをいいます。逆に休憩時間は、使用者の指揮監督のもとにない時間となります。休憩時間は、労働者の時間の自由利用が保障されている時間と考えるとわかりやすいでしょう。したがって、昼食休憩時間中に来客当番や電話当番をさせれば、その時間は実際に来客や電話がなくても労働時間となります。
【本条違反】
労働基準法第119条(罰則)
次の各号の一に該当する者は、これを6箇月以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する。
一 第3条、・・・第32条、・・・
二~四 略
労働時間の大原則に違反して現実に1週40時間又は1日8時間を超えて労働させた場合は、上記罰則が適用となります。なお、法定労働時間を超える労働時間を定めた労働契約は、それ自体としては本条の処罰の対象とはなりませんが、その部分は無効となり、法定労働時間が適用されます。
ここまでが、労働時間の大原則となります。でも、これでは1週40時間以上や1日8時間以上労働させることができません。そこで例外規定として労働時間を延長する場合に必要な手続として労使協定の締結と行政官庁への届出を定めているのが労働基準法第36条、一般的に36協定と呼ばれているものです。この協定の有効期間中であれば、労働者に時間外又は休日労働をさせても第32条違反とはなりません。協定の締結、届出がないと適法に時間外又は休日労働を命じることはできませんので、労働者は命令に従わなくとも責任は追及されません。
今回は、労働時間の基本的なことのみとりあげました。上記原則の例外としての変形労働時間制やフレックスタイム制を導入されているケースも多いとは思いますが、ブラックバイト問題を通し、今さらわかりきってるよと思い安心していた部分で足元をすくわれないよう、年始にあたり、各労働者の労働時間の把握・再確認、36協定の締結・有効期間の再確認をお願いいたします。不明なことがございましたら弊社までお気軽にご連絡ください。