労働災害が発生した場合、事業所に雇用される「労働者」であれば保険給付が受けられます。労災保険法の「労働者」は、労働基準法上の「労働者」と同じ意味だと解されています。すなわち、「職業の種類を問わず、事業又は事務所に使用される者で、賃金を支払われる者」が労災保険法が適用される「労働者」です。従来、「研修」生・実習生の一部は、本来の研修目的を潜脱する単純労働の低賃金労働者として利用されてきました。いわば「名ばかり研修生」です。外国人研修生の実態が労働者である場合、労災保険法は、強行的な労働保護法として、違法な就労であっても適用されます。
「名ばかり研修」を改めて、法改正をして、諸外国の青壮年労働者を一定期間受け入れて、産業上の技能・技術・知識を取得してもらい、もってその国の経済発展を担う人材育成を目的とした「外国人技能実習制度」を設けました。受け入れ方式には2つのタイプがあり、企業単独型と団体監理型に分けられます。企業単独型は、日本の企業等が海外の現地法人、合弁会社や取引先企業の職員を受け入れて技能実習を実施するもので、団体監理型は、営利を目的としない団体(監理団体)が技能実習生を受け入れ、傘下の企業等(実習実施機関)で技能実習を実施するものです。
しかし、企業単独型で受け入れる(入国1年目)と言っても、以下のとおり技能実習生の要件は厳しいものです。(1)海外の支店、子会社又は合弁会社の職員で、当該事業所から転勤し、又は出向する者であること。(2)習得しようとする技能等が単純作業でないこと。(3)18歳以上で、帰国後に日本で習得した技能等を生かせる業務に就く予定があること。(4)母国で習得することが困難である技能等を習得するものであること。(5)保証金条項、違約金条項については略。詳細は、国際研修協力機構(JITCO)のHPを参照してみて下さい。